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幼馴染みだった僕たち、でも、争いの中で別れることになってしまった。
幼馴染みだった僕たち、でも、争いの中で別れることになってしまった。
僕と君は子どもの頃から親しくて、よく、どちらかの屋敷へ行っては庭園で二人遊んでいた。性別は違っていても心の壁などなくて。性別なんてよく分からない頃から一緒にいたからかな、年頃になっても二人でいることにあまり抵抗はなかった。それは僕だけではなくて。彼女もそうだと言っていた。だから僕たちは、歳を重ねても、無邪気に二人で遊んでいた。
やがてそういう年代になった時、僕たちは婚約することを決めた。
知らない人と結婚するくらいなら二人で生きていくほうが楽しいよね! ……なんて言って。
だけど、ある時から二人の家の仲が悪くなってしまって。
権力争いのようなものに巻き込まれていく中で、僕たちは婚約を破棄とせざるを得なくなってしまった。
その日の晩は二人で泣いた。
彼女が泣くところを見たのは初めてだった。
今はもう彼女には会えないけれど……無邪気で明るい彼女を護りたかったな。
◆終わり◆




