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魔術使いの令嬢は酷い婚約破棄をした元婚約者を許さない。

 魔術使いで良家の令嬢でもあるレイラ・アンドレアナスは、婚約者アポの勝手な行動によって傷つけられたうえしまいには婚約破棄された。


 婚約して間もない頃、彼女は相手に夫婦として生きていく意思がないことを知った。


 けれども何も言わなかった。

 愛していないこと自体は社会的な流れもあっての婚約だから仕方ないと思っていたのだ。


 それでもいい、彼女は理解を示す気でいた。


 けれどもやがてアポには恋人ができた。当然正式な存在ではない。彼は恋人とばかり出掛けるようになり、さらには外泊まで繰り返すようになった。


 それから数週間が経ったある晩、レイラは、アポが自室に恋人を連れ込んでいるのを発見。


 しかも彼と恋人は深い関係になっていた。

 いつの間にか二人は一晩中愛し合うような関係にまで進展していたのだ。


 婚約者がいる身でそこまでの関係になるのはさすがにどうなのか?


 レイラが主張すると、アポは激怒。


 彼はレイラを捉えて自宅の屋根裏部屋に監禁。そこで毎日のように徹底的に殴ったり蹴ったり物で叩いたりした。これはわがままな婚約者への正当な躾だ、彼はそう言い張って、暴行を加えることをやめなかった。


 二週間ほどそんなことを続けてから、彼はその場で婚約破棄を言い渡す。


 レイラはぼろ雑巾のようにされて放り出された。


 その後、レイラは、彷徨っていた時に見つけた森の中の小屋に住み着いた。


 彼女は表舞台には戻らないことを決めていて。

 けれどももう一つ決意を抱いていた。


 元婚約者であるアポを絶対に許さない。


 それが彼女をこの世に繋ぎ止めた。



 ◆



 レイラを捨てたその日の晩もアポは恋人を抱いていた。が、その途中で恋人の呼吸が急に停止する。慌てて医師を呼びにいくアポ。だが、婚約者がいる身で全裸の女性を部屋に置いているというところを医師に見られることとなってしまって、彼は恥をかくこととなった。


 結局恋人の女性は手遅れとなった。


 彼女はそのまま亡くなった。


 大切にしてきた人を失い体調を崩したアポだが、医師によって「婚約者がいる身で別の女性と夜を共にしていた」という話を流され、それによって皆から冷ややかな目を向けられることになってしまった。そのことが引き金となって心まで病んでしまう。


 廃人に近いような状態になってしまったアポは親のところへ運ばれる。

 仕方なく親が面倒をみることとなった。


 だがそれからもアポはかなり痛い目に遭った。


 しゃっくりが連続で出続けてまったく止まらない状態になってしまい、さらに謎の皮膚病にかかり、しまいには関節が痛む病にもかかってしまって……動けなくなって衰弱していくばかり。


 これらはすべて、レイラの魔術によって引き起こされたものである。


 けれどもそのことに気づく者はいなかった。



◆終わり◆

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