不細工で嫌だからと妹が押し付けてきた男性がとても良い人でした。おかげで毎日幸せです、ありがとう妹。
「だから! 婚約破棄してやったの! あいつ不細工過ぎ!」
妹が婚約を勝手に破棄してきた。
彼女にはオーガレという婚約者がいたのだが、彼は少々もったりした容姿の人で、妹はそれがどうしても嫌だったようで。これまで散々愚痴を聞かされてきたのだが。ついに我慢できなくなったようで、切り捨てたようだ。
「あいつはお姉さまにあげるわ! 芋なお姉さまにならぴったりだと思うの。ね? 嬉しいでしょ? いき遅れのお姉さま!」
こうして私は意外な形でオーガレと婚約することになった。
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その後、彼と会ってみたのだが。
「あの……僕ですみません。嫌ですよね、こんな……地味な男。もっと、美男子のほうが……良かったですよね?」
「いえ、そんなこと。ありませんよ。むしろこちらこそ、なんというか、妹が迷惑お掛けしてすみませんでした」
「いやいやいや! 僕が色々駄目だったんですよ!」
彼の飾らず控えめで素朴なところに惹かれた。
この人となら幸せになれる。
そんな気がして。
彼と結ばれる道を進めることが嬉しかった。
「これから、よろしくお願いしますね、オーガレさん」
「こちらこそ! よろしくお願いします!」
「そんなに緊張しないで大丈夫です。ちょっとのことでは怒りませんから」
「あ……あ、あはは……すみません、恥ずかしいです……」
こうして私は妹に押し付けられた男性オーガレと結婚した。
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私とオーガレは夫婦となってしばらく経つ今でも仲良しでいることができている。
彼と過ごす時間は幸せに満ちているし、彼と向かい合って話すだけでほっこりできて心が柔らかくなる。
一方妹はというと、容姿がかなり良い男性に気に入られて婚約したが実は彼は詐欺師で……借金を背負わされたうえ女を売る店で働くことを強制され、幸せにはなれなかったようだ。
妹は今も女を売る店で朝から晩まで働いているようだ。
◆終わり◆




