私が持つ魔法の才を自分のものなことにして王子と婚約した妹は嘘がばれて牢送りとなりました。そして私は幸せに暮らします。
ラベンダーカラーの美しい髪を持つ妹フェリカは強大な力を持つ大魔法使い、そしてその姉である私エリカは妹とは対照的に地味な彼女の従者。
表向きはこうなっている、一応。
しかしこれは我が家の親が勝手に作った話でしかなく。実際に強大な魔力と魔法の才能を持っているのは私で、妹が使っているとされる魔法を発動しているのはすべて私だ。
これは、フェリカを凄い力のある美少女という存在にしたかった親が考えたことで、両親はフェリカの価値を上げるためなら何でもした……そう、私の力さえも偽りの形で利用した。
その大いなる力をもって、フェリカはこの国の王子と婚約する。
「フェリカさん、このたびは婚約ありがとう」
「いえ! 光栄ですわ」
この日はフェリカと王子が対面することとなった。
「どうか、よろしくお願いいたします」
「はい!」
フェリカはご機嫌だ。
表情が明るい。
「ところで、フェリカさん、そちらの女性は?」
「従者ですわ」
「あの、よければ……一度二人になってお話ししたいのですが」
「それは、申し訳ありませんけれど。できませんわ。すみません」
返答を聞いた王子は一旦黙る。
何か考え込んでいるような面持ちになっている。
「では、フェリカさんのご両親も一緒で構いませんよ。それなら安心ですよね? その形で良いでしょうか」
「え……」
「なぜ青い顔をなさるのです? 体調が優れませんか」
「い、いえ! ……そんなことは。そんなことは、ありません」
その後私はフェリカと一旦別れることとなった。
フェリカは両親と王子と共に部屋へ入ってゆく。
直後、一人の男性が声をかけてくる。
「失礼します。貴女、エリカさんと仰るそうですね」
「は、はい。そうです」
「少しお話を聞かせていただきたいのですが」
「お話、ですか?」
「はい。これは王子の命です。すみませんが」
「……はい」
その後、私はしばらく、妹の力について色々聞かれた。
で、数時間後に両親及び妹の嘘がばれたということを知った。
「もともと怪しいと思っていたのです。……ということで、フェリカさんと親御さんは拘束されました。で、エリカさん、貴女ですが……」
王子は淡々とした調子で口を動かす。
「わたしと結婚してください」
「え」
「嘘に加担したことは許されませんが、恐らく貴女は強制されていたのでしょう? その事情は理解します。我が権限で貴女の罪はないこととしましょう。ですから、結婚してください」
意外な展開だ。
こんなことになるとは。
◆
色々あったが私は王子と結婚することとなり、ある種の平穏を手に入れることができた。
もちろん苦労もある。
王子の妻というのは多くの人に見られる存在だから。
けれど、妹の影として生きるだけの人生というのも虚しいので、こんな風になったことは私にとっては良いことだったと思う。
王子に愛されているのも運が良い。
ちなみに、フェリカと両親は『王族を欺いた』という罪によって牢に入れられ、現在は強制労働させられているそうだ。
罰であるということもあり、食事は一日二回パン一個だけだそう。
その食事だけで一日十五時間以上も厳しい労働環境で働き続けなくてはならないのだから、まるで悪夢である。
◆終わり◆




