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ぽっちゃりしていることを指摘され婚約破棄された令嬢は東国で身体を鍛えて逆襲する。

 そこそこ裕福な家に生まれ大事に育てられたエリナは同年代の女性たちより少しばかりぽっちゃりしていた。


 温厚な彼女は、親が決めた婚約者であるアウアのことを尊敬し、彼の妻となれる未来を思い描きながらほくほく暮らしていたのだが。


「きみみたいな肥満の女は生理的に無理なんだ。だから婚約は破棄する」


 ある日、アウアからそう告げられてしまった。


 エリナは地獄に落ちるほどの悲しみに襲われた。

 ぽっちゃりしていただけですべてを失うなんて、と、絶望の海に沈む。


 だがそんな時、彼女が暮らす村に、東国の格闘家集団がやって来た。


 彼らは皆、見た感じぽっちゃりとしているようで。しかしながらその芯には筋肉があり、しなやかな動きを得意としていて。肉はあるのに動けるし、運動神経抜群だった。


 彼らの戦いを見たエリナは「自分もあんな風になりたい!」と言い出した。


 そして、彼らに紹介してもらい、女子相撲に参加することとなる。


 エリナは単身東国へ移り住んだ。

 そこで日々身体を鍛える。

 大変な毎日だったが、彼女は挫けなかった。


 そして、やがて、東国で一位二位を争うような女性力士となる。


 腕力を身につけたエリナは生まれ育った国へ帰ると、アウアに決闘を申し込む。


 ぽっちゃりを批判したアウアに生まれ変わった自分の姿を見てほしい。

 それがエリナの望みだった。


「きみに何ができる?」


 アウアはそう言って馬鹿にしたが、それでもエリナは挫けない。

 一人対一人の決闘を望み、やがて、それを受け入れてもらうことができた。


 その日、会場には、多くの観客が集まっていた。


 そこでエリナはアウアをこてんぱんにやっつけた。


「あの娘、強いのね」

「かっこいいじゃない」

「逆にあの男の人はちょっと情けないわね……かっこつけていたのにね……」


 アウアは残念な場面を皆に見られることとなり、恥をかいた。


 その後エリナは再び国から出ていく。


「私はもっと強くなりたい」


 エリナの瞳には輝きがあった。



 ◆



 エリナが世界各地を周り強さを求めていたその頃、アウアはというと心を病んで家から出られなくなってしまっていた。


 アウアはあの決闘で恥をかいた。


 それ以来、少し家から出るだけでも通行人にくすくす笑われたり悪口を言われたりするようになってしまって、いつしかそれらが怖くなったのだ。


 で、彼はもう数年、自宅の自室から出ていない。


 お世話はすべて母親にしてもらっている。



◆終わり◆

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