婚約者がやたらと幼馴染みと比べて下げてくるので、彼の前から去ることにしました。
「レレイはさぁ、お前と違って可愛いんだよなぁ。いちいち行動が可愛くてさぁ、お前みたいなクズ地味女とは一線を画す存在なんだよ」
私の婚約者アズレイは幼馴染みレレイのことを愛している。
「レレイはさぁ、お前みたいに無愛想じゃないんだよなぁ。いっつも俺のところへ来てうさぎみたいに振る舞ってくれるしさぁ。あー、会いたい」
そんなに好きなら彼女と婚約すれば良かったのに。
敢えて他の女を婚約者に選ぶ必要なんてなかっただろうに。
「レレイはさぁ、お前と違って可愛いんだよなー。しかも昔からだぞ? 純粋過ぎて最高だわー」
ある日、さすがに耐えられなくなったので、私は彼の前から去ることにした。
これまでに集めたアズレイとレレイが過剰に仲良しな証拠をばらまいて、彼の前から消えた。直接婚約破棄を告げるというパターンも一時は考えてみていたのだけれど、ややこしいことになりそうなのでそれはやめた。
アズレイの婚約者が消えた。
それは騒ぎになった。
騒ぎは騒ぎを呼び、彼の行いも世に出る。
「アズレイさんって凄いわよねー、婚約者がいるのに他の女と夜まで仲良しだなんてー」
「さすがに引くわ」
「理解不能よね。というか、そんな男論外」
町中でもそんな会話を聞いたほど、アズレイの件は有名な話となっていた。
私が消えるや否や、アズレイは喜んで私との婚約を破棄し、レレイと婚約したようだ。
しかしその時には既にレレイは心を病んでいて。
世界中の人たちから批判されている、という妄想にとりつかれたレレイは、毎日自室で暴れるようになっていったらしい。
そんなある日、暴れている最中に窓から転落し、即死したそうだ。
アズレイはレレイ死を知り発狂。
後を追うように自ら死を選んだ。
ちなみに私はというと、全国展開している服屋の社長で資産家でもある男性と結婚した。
◆終わり◆




