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さらりと告げられた婚約破棄が幸せを運んできました。

「おまえとの婚約は破棄とすることにしたぜ」


 長く逆立った赤毛が個性的な婚約者アブブからさらりと告げられた。


 婚約破棄。それは本来人生において大きなことで。さらりと告げられるようなことではないはずだ。けれども彼にとってはそこまで深刻なことではなかったようで。彼は今日の夕食が何かを聞くかのような軽い雰囲気で宣言してきた。


「そんな……いきなりにもほどがあります!」

「はぁ? うっさいな! 黙って従え、黙って出ていけよ」


 こうしてアブブとの関係は終わる。


 彼を心の底から愛していたかというと頷けはしない。

 でも彼との未来を見ていた。

 それだけに残念さは強いし悲しさも若干ある。


 でも……その婚約破棄が運んできたのだ、本当の幸せを。


 アブブとの関係が終わった数日後、私は一人の男性と知り合った。

 ほぼ気まぐれで母親の仕事場についていったことが彼との出会いのきっかけとなったのだ。


 それから私たちは定期的に顔を合わせるようになる。



 ◆



 あれからどのくらい時が流れたかもう忘れたが、私は今、心の底から愛することのできる人と結婚し共に生きている。


 もちろん、時には喧嘩になりかけることもある。

 けれどもすぐに仲直りすればより一層絆は強まって。

 少し時間が経てば、また、隣り合って笑い合える。


 私たち夫婦の絆は確かなものだ。


 一方アブブはというと、馬車爆走族の活動に参加していたある晩に山道で馬車に乗ったまま影から転落。仲間がわりとすぐに助けに来てくれたものの、その時には既に落命していたそうだ。ほぼ即死だったようだ。



◆終わり◆

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