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婚約を破棄させようとしてくる妹を婚約者が倒してくれました。

 私には五つ年下の妹がいるのだが、彼女は、私と婚約者カイルが仲良くしていることに不満を抱いている。で、彼女はことあるごとに私とカイルの仲を裂こうとしてくる。


 これまで何度も被害を受けた。


 カイルに私の悪口を吹き込もうとしたり、乳をすり寄せて色仕掛けをしたり、そんなことが繰り返された。


 唯一救いだったのは、カイルがまっとうだったこと。

 彼は妹にはなびかなかった。

 妹の行いに悪意があることを理解したうえで、いつも私の味方をしてくれた。


 だが、先日ついに、直接嫌がらせを受けることとなった。


 二人を引き裂く作戦がなかなか上手くいかないことに苛立ちを覚えてか、妹は、急に私を呼び出して殴る蹴るの暴行を加えてきた。


 途中で逃げられたので助かったが、あれは危なかった。


「暴力はさすがに許せない。だから僕は彼女を退治することにしたよ」

「カイル……」

「君に手を出す者は誰であっても叩き潰す」


 カイルは実は魔法が使える。

 それを生業としていないだけで、生まれながらにして魔法を使う才能を持っていた。


 力を持つ彼であれば妹を退治するくらい容易いだろう。


「君がどうしても嫌と言うならやめるけど……」

「いいえ」

「……いいんだね?」

「ええ。私も彼女には困っていた、それは事実よ。だから、妹がどうなっても何も言わないわ」


 作戦の決行は一週間後。


 その日、カイルは妹を呼び出した。


 私は建物の陰から様子を見守る。

 はらはらするが、カイルなら大丈夫だろう。


「カイル様ぁ~! ついにその気になってくださったんですねぇ~! 待ってましたぁ!」

「今日の用事はそうじゃない」

「え? あ~照れてますねぇ~? んもぉう~、か~わ~い~い~」


 カイルは右手を差し出す。

 妹は何の躊躇いもなくその手を取る。


 が、カイルの手に妹の手が触れた瞬間、炎が発生した。


「い、い、い……いやああああっ!」


 悲鳴をあげる妹。


「燃える、燃える、燃えてるううぅっ! いやああああ! やめてええぇぇっ!!」


 比喩ではなく火がついた妹はひきつったような悲鳴を発し続ける。

 彼女は地面を転がりながらずっと叫んでいた。


 その後、彼女は亡くなった。


 死因は結局不明のままだった。



 ◆



 私は今もカイルと共に暮らしている。


 もう妹はいない。

 迷惑行為に困らされることはない。


 正式に夫婦となった私たち、これからは穏やかに暮らす。



◆終わり◆

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