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婚約破棄 ~悲しみに溺れてはいられない~
「ワルイケド、キミトハモウ、トモニイキテイクコトハデキナイヨ。ゴメンネ。デモドウシヨウモナインダ。ッテコトデ、コンヤクハハキトサセテモラウカラネ。バイバイ、パットシナイケイジョシ」
その日、婚約していた相手である彼から、婚約の破棄を告げられた。
「はい。分かりました。では……ここでお別れですね、さようなら」
私は彼にすがりつく気はない。
だから婚約破棄を受け入れた。
◆
たとえ婚約破棄されても、悲しみに溺れてはいられない。
そう考えた私は、親が営む魔道具屋の手伝いを始めた。
慣れないことばかりで初めは大変だったけれど、次第に慣れ、いつしか問題なく働けるようになっていった。
それから八年、結婚もして、今は忙しくも楽しく暮らせている。
今は、夫婦として生活しながら、親からもうすぐ継ぐ予定の魔道具屋としても生きている。
お客さんから「買って良かった!」とか「役に立った!」とか言ってもらえた時、その時が何より嬉しく、楽しい気持ちになれる。
◆終わり◆




