このたび婚約破棄を宣言されました。~そして始まる私のハッピーライフ~
その日は何の前触れもなくやってきました。
「おぬしとの婚約、本日をもって破棄とする!!」
十ほど年上の婚約者ルイーズマンは、私と彼以外誰もいない場所だというのに、響き渡るくらい大きな声で婚約破棄を宣言してきたのです。
「なぜですか?」
「答える義務などない!」
「いやいや、それはさすがにめちゃくちゃです。お願いです、せめて理由を教えてください」
「うるさい黙れ!」
大人げないなぁ……と思わざるを得ない。
「いいからとっとと出てゆくのだ! 去れ! 去れ!」
こうして私は追い出されました。
せめて少しくらい話をさせてほしかった。何か言わせてほしかったし、事情も聞かせてほしかったのです。まともな説明くらいほしい、と思っていました。けれどもそれは無理なことだったようです。
理由を言えないということは、きっと、まともな理由なんてないのでしょう……。
急な婚約破棄は残念ですが私はもうひきずりません。
ここからは私なりの幸せを模索していくのです。
ハッピーライフへ!
突き進みます。
◆
あれ以来、私は毎日とても忙しいです。
朝は実家前の掃除、読書もすればティータイムも楽しんで、もともと飼っていたアニマルのお世話もします。
それでも毎日はとても楽しくて。
最近ではアニマル飼育者仲間もできて、その人たちと定期的に集まって喋ることもでき、日々充実しているように思います。
これぞハッピーライフ! です。
また、この生活に理解を示してくれている両親にも感謝しています。なぜなら、これは二人が許してくれているからこそできる楽しい暮らしだから。この環境に生まれ落ちたからこその今なのです。
そうそう、そういえば、親伝いに先日ルイーズマンについて聞く機会があったのですが。
彼はあれから酒場で知り合った女性に魅了されたそうで、彼女のために大金を使うようになったそうです。で、その結果、自身の貯金を使い果たしてしまったそうで。しかしそれでも終わることはできず、今度は家のお金にまで手を出してしまったらしくて。それによって彼は親と大喧嘩になり、勘当を言い渡されてしまったとのことでした。
いい年して何をしているのか……という気はしますが、まぁ、私には関係ないことです。
◆終わり◆




