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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 2 (2022.3~12)  作者: 四季


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なぜかいつも婚約破棄された直後に婚約者が消えます。~同じようなことが三回も続いていて不思議です~

 なぜかいつも婚約破棄された直後に婚約者が消える。


 こんなことになっているのは私だけのようだ。

 しかし何が起こっているのかは不明のまま。


 そう、あれは、前の前の人生の時から始まった――。



 ◆



「かれ、あたしのものになったからぁ」


 あれは前の前の人生の時。

 婚約者を他の女に寝取られた。


「すまないな、婚約は破棄させてもらう」


 婚約者の彼がベッドで女性と触れ合いながらそう告げた直後、それは起こった。


 半裸だった彼の全身が白い光に包み込まれて。

 数十秒煌めいた後に彼は消えた。


「ちょっとあんた! あたしのかれになにしたのよぉ!」

「いやいや、そんなこと言われましても。何がどうなっているのかなんて知りませんよ」

「はぁ? あんたのしわざでしょ!?」

「こちらが聞きたいですよ」


 その日以降、彼は目撃されなくなった。


 大規模な捜索活動が行われたが数カ月見つからず、捜索活動はやがて打ち切りとなった。



 ◆



 その次、今から考えると前回、その人生でも同じようなことが起きた。


「お前の顔面臭そうでやばい」

「酷いですね……臭くないですよ……」

「から、婚約は破棄するわ」


 刹那。

 彼の身体に白っぽい炎のようなものが揺らめき始める。


「あっ! あっ! えええ!? なんじゃこりゃ!? あわっ! あわわ! わわわわわ!? てめぇ何しやがった!?」


 前の人生の記憶を持っていた私は「またこれか……」と内心思う。


 だが原因など知らない。

 だからどうしようもない。


「ぎゃあああああ!!」


 やがて彼はその白っぽい炎のようなものに包まれてゆき、やがて消滅した。


 骨どころか灰さえも残らなかった。


 この時は、彼の親が子に興味のない人だったということもあって、謎の突然の死ということで話は片付いた。



 ◆



 そして今回。

 私はもうすぐ婚約破棄されそうだ。


「アンタンのことは好きにナレナイのヨ、だから、ネ、ここで去ってほしいのヨ。今日は、ネ、それを伝えたくて呼んだのヨ」


 そろそろ、だろうか。


「というコトデ、ネ、アンタンとの婚約は破棄す――いやあああああ!!」


 突如天井から降り注ぐ大量の白いムカデ。


 それらは私のところへは来ない。

 すべて彼に向かっていっていた。


「嫌あああ! 嫌ヨおぉぉぉぉぉぉ! 助けってええええええ!!」


 今回はこういうパターンか。


「ちょっとアンタン何したのよぉぉぉぉ! 召喚とかやめなさいよぉぉぉぉぉ! 酷いわぁぁぁぁぁ! ァァァァァァ!!」


 数秒後、婚約者の彼は塵となって消え去った。


 その場にぽつんと取り残される私。


「ああ、また、こういうことになった……」


 一人寂しく呟いて。

 苦笑する。


 毎回婚約破棄される、それだけでもおかしな話だけれど。それだけではなく、毎回破棄を告げた婚約者がその場で消えてゆくのだから、これまた不思議な話だ。



 ◆



 あれから十五年。

 あの謎の現象は結局正体不明のままだ。


 だが私はついに誰かと結ばれることができた。


 結婚した相手は有力貴族の子息。

 おかげで色々な面で困らずに生きることができている。


 今はこの人生に満足している。



◆終わり◆

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