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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 2 (2022.3~12)  作者: 四季


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君なんてもう要らない、その言葉は繰り返され続け……。~私は死んでもいずれ復讐は果たされる~

「君との婚約は破棄とする」


 夕暮れの空。

 赤と青が混じり合うそれの下で、婚約者から告げられる。


「君なんてもう要らないよ」


 そうか。

 私は必要とされていないのか。


「……そうですね、分かりました」


 無理して面に浮かべる笑み。


 私はどこまでも愚かだ。

 傷ついていることさえ隠そうとして。


 本当のことを言ってしまえば良かった。どうせ終わるのだから。せめて本当の言葉を吐き出して終われば良かったのに、それすらできず。弱みを見せる勇気を持たなかった私は、最後まで笑って、馬鹿みたいに無理し続けてしまった。


「今までありがとうございました、さようなら」

「あぁ」


 こうして終わりゆく彼との時間。


 もう戻らない。

 共に生きた日々は。



 ◆



 夕暮れの空の下で思う。


 どうすればいいの、と。


 私にはもう道が見えない。

 抱くべき希望も見つけられない。


 そしてその日、衝動的に、崖から飛び降りた。


 書き置きは飛び降りた地点に遺す。

 誰の目にも触れないまま終わるかもしれないけれど。

 もしそうなったならそれはそれで良い。


 結局、終わりの瞬間まで響いていた。


 動きがとまりかけている脳内では何度も繰り返されていた。


『君なんてもう要らないよ』


 彼が発した、その言葉が。



 ◆



 彼女の死後、彼女の婚約者であった男性は彼女の母親の手で殺められた。


 母親は強かった。

 子を絶望させられ、子を奪われた、それを許しはしなかった。


 たとえその手が血に濡れようとも。


 母親は復讐を果たしたのであった。



◆終わり◆

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