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ただの娘として生まれたざまぁ神はちょうどいい感じに婚約者を奪われたので力を発揮する!

 ルルカ・アンネスト、彼女はただの娘ではない。


 現世での存在という意味なら平凡なただの娘でもあるのだが。

 実際にはそうではない部分がある。

 彼女はざまぁ神の生まれ変わりなのである。


 とはいえ何でもかんでも暴力で解決するわけではない。


 数々のざまぁを起こしてきたざまぁ神という正体を持つルルカだが、穏やかに生きてきた。


 辛いことも悲しいことも乗り越えてきた。


 そんな彼女に訪れた力を使う最高のチャンス。


「貴様など魅力的でなさすぎる! よって、婚約は破棄とする!」


 婚約者オブブからの婚約破棄である。


「俺はこれから彼女と生きてゆくのだ!」

「アーネリアン・フォフォ・エベリカですぅ~。あたしがオブブ様の妻となるのですよぉ~。元婚約者さんおつですぅ~、ばいびぃ~」


 オブブには好きな人ができていた。


「そう、ですか……」


 溜め息をこぼすルルカを見て笑う二人。


「いやぁ~ん、傑作ぅ~! あははははははぁ~ん! 婚約破棄された女の顔見るのってぇ~、もう~、やめられないですぅ~!」

「だな! 笑えるよな!」

「いやぁ~ん、オブブ様、悪いですぅ~ん!」

「そっちもだろ! はっはははははははははは!」


 だが笑っていられるのもその時までであった。


「承知しました」


 ルルカは指をぱちんと鳴らす。


 それは能力を使う合図。


「では、残念ですがこれにてお別れですね」


 声が途切れた瞬間、アーネリアンのドレスが燃え始める。


「きゃあっ!?」


 パニックに陥るアーネリアン。


「いやあああああ! いや、いや、いやああああ! 消して! 消してえええええ!」


 それに対しルルカは小さく「お望み通り消しますよ」と呟く。


 するとアーネリアンはその場から消滅した。


「き、貴様! アーネリアンに何をした! 彼女を戻せ、ここに返せ!」

「それはできません」

「魔女め……! ああ、そうだ、ならこのことを話してやる! 言い広めてやる! 許さんぞ魔女!」


 怒るオブブだが。


「さようなら」


 ルルカが指を鳴らすとその場から消滅した。


 室内にはルルカだけが残る。

 オブブもアーネリアンも跡形もなく消えた。


 これこそがざまぁ神の力である。


 当然もっと残酷なざまぁを行う力もあるのだが、この時のルルカはそれを選ばなかった。二人がそこまで苦しまない方法を選択した。そういう意味では、ざまぁ神にしては力を抑え過ぎたとも言えるのだが。


 しかしルルカはもう満足していた。



 ◆



 数年後の冬、ルルカは広い領地を持つ領主の息子と結婚した。


 結婚から一年も経たないうちに子にも恵まれ、彼女はその生涯を幸せに暮らした。


 ざまぁ神の力を使うことはもうなかった。


 それゆえ、ルルカがざまぁ神であることを知る者は、彼女の生涯において一人も発生しなかった。


 それでも彼女の生涯は幸福に満ちていた。



◆終わり◆

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