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何度も何度も繰り返される。~婚約破棄と謎現象ばかりが起こり続けて~

 いつからだろう。

 私が過去の人生の記憶も持って生まれるようになったのは。


 もう思い出せない。


 けれども、私は、いつからかすべての過去を記憶して生きるようになった。


 これは、そんな私の身に起こる不思議な話だ。



 ◆



 一番最初の記憶。

 それは少し裕福な中流家庭の娘として生まれたものだ。


 親には大事にされて育った。


 年頃になると同じような家柄の男性と婚約。

 ここまでは決められた道であった。


 が、結婚式の数日前になって、婚約の破棄を告げられてしまう。


 実は婚約者には他の女がいた。しかも、その他の女は子を宿しており、婚約者は女の親から「責任を取って娘と結婚しろ」と言われていたのだ。


 結婚式の少し前になってからそんな重大なことを明かすなんて、なんと卑怯な人だろう――そう思いながらも、私は、その婚約破棄を受け入れた。


 が、そこで事件が起こる。


 婚約破棄を告げられた日の次の日、彼は急死したのだ。


 原因は不明らしい。


 しかも、相手の女性も、さらに二日ほど経った朝に子もろとも謎の死を遂げたそうだ。



 ◆



 二度目の人生、私はあまり裕福ではない家庭で生まれ育った。


 が、親戚のおじさんの紹介でそこそこ良い家の男性と婚約できることとなり、一家で喜ぶ。


 婚約者との関係はそこそこ上手くいっていたのだけれど。数カ月で婚約を破棄されてしまった。その理由は『価値観が合わないから』というものであった。


 確かに育った環境は異なっているけれど。

 そこまで良くなく思われているとは思わなかった。


 彼といられなくなって悲しんでいると、翌日、新聞にて彼の死を知ることとなる――元婚約者の彼は「山を少し散歩してくる」と言って家を出たきり帰らず、捜索したところ、山から少し離れた海にて亡骸となって見つかった。


 一時期、新聞の紙面は、毎日のようにこの事件でもちきりになっていた。



 ◆



 三度目の人生では一国の姫として生まれ国の有力者の長男と結婚することになるが、正式に夫婦となる日の前日になって彼が数人の恋人をこっそり作っていたことが発覚。


 大問題となり、逆切れした彼が滅茶苦茶な形で婚約破棄を宣言。


 それから数日も経たないうちに、彼は忽然と消えた。以降、彼に似たお化けがいるという嘘の話がよく流れるようになった。結局本人は見つからないままである。



 ◆



 四度目の人生、私は、領主の娘として生まれた。


 親の指示でとある家に嫁ぐこととなるのだが。

 向こうの家で偽りの罪をでっちあげられ、婚約破棄を告げられたうえ犯罪者として拘束されることとなる。


 それから数日後。

 彼と彼の両親が一斉に行方不明となったことを聞いた。


 私が呪ったのでは、と疑われた時にはどうなることかと思ったが、親の権力もあり何とか無事解放された。



 ◆



 五度目の人生。

 この頃になるといつもこうなるということが分かってきていたため婚約はしない方向で考えていた。


 が、ある日突然海賊に誘拐され。


 海賊の長と結婚させられそうになる。


 しかし、彼とはどうしても気が合わなくて、喧嘩になってしまって――ある時、勢いで船から落とされてしまった。


 直後、私は海で泳ぎながら、船がまるごと消え去る瞬間を見た。


 以降あの船は世に現れず。

 海賊も減った。


 ちなみに私はというと、通りかかった船に救助され、その後母国へと送り返された。



 ◆



 ……と、私の人生はいつもそのような感じである。


 今回はどうなるか分からない。

 ただ、これまでもそうだったように、同じようなことになる可能性は低くない。


 だが、今は、私として生きられる時間を大切にしていたいと思う。


 やりたいことをやろう。

 好きなことに注力しよう。


 それが私のモットーだ。



◆終わり◆

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