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婚約破棄されたので、今日、旅に出ます。
その日の訪れは驚くほど突然だった。
彼は言ったのだ。
君との婚約はなかったことにする、と。
この国では男側が婚約破棄を望めばそれが通るということになっている。そのためこちらには言い返したり破棄を拒否したりする権利はなく。彼の方から婚約を破棄すると言われてしまうと、女側はそれを受け入れるほかないのだ。
で、私は独り身に戻ってしまった。
悔しさはある。
が、だからといって法律を変えられるわけでもない。
ならば悔しがっていても無駄。
そこで私は旅に出ることにした。
もはややけくそに近いが。
ただ、以前から、一度は旅をしてみたいと思っていたことは事実。
これは良い機会だろう。
今日、私は旅立つ。
彼との結婚という未来は断たれたが、何もかもが失われたわけではない。
ならばやりたいことをやろう。
きっとそれが未来へ繋がる。
◆終わり◆




