散々虐めてから婚約破棄した彼が許されるわけがありません。~私の妖精はちょっぴり怖いんです~
皆さんは妖精って知っていますか?
可愛いですよね。
特に飛ぶタイプは少女のような見た目で愛くるしいものです。
でもね、たまに怖いんです。
彼女たちは基本的には人間に友好的です。でも怒らせるととんでもないことをすることもあります。そこのところは人間とは少々感性が異なっているので。人間から見ると残酷に思えても彼女たちにとってはたいしたことではない、ということもあるようなのです。
これは私の守護妖精ピピが恐ろしかった話。
では、聞いていってくださいね。
◆
かつて私には婚約者がいました。
オッスといいます。
彼は婚約すると同時に私を自分の家へ来るよう求め、私はそれに従ったのですが、その結果私は彼から閉鎖空間で虐められることとなってしまいました。
彼は私を言いなりの人形にしようとしていました。
罵倒など可愛いもの。
手を出されることもありました。
監禁された状態で心身を共に傷つけられるのです、なかなか辛いものがありました。
そこで私は脱出を試みます。
しかし失敗。
それによって婚約破棄を言い渡されてしまいます。
彼は「お前みたいな脱走しようとするやつには更なる罰が必要だ!」と言い出しました。
……って、まぁ、ここまでは重要でもないのですが。
守護妖精ピピが怖かったのはここからです。
脱出を試みた際に生命反応で私がそこにいることに気づいたピピは、すぐに駆けつけてくれました。
ピピは助けに来てくれました。
彼女に会えた時はとても嬉しかったです。
でも、そこから先に起こることを、私はまだ知りませんでした。
ピピはまず光るリボンを出してオッスの身体の自由を奪いました。私がここから脱出するためかと思っていたのですがそうではなく。ピピは拘束したオッスに攻撃を始めます。彼女は怒っていましたが、その一方でかなり冷静でした。淡々とオッスを痛めつけていきます。
「アナタはアタシの主人を傷つけたのよ、許さないから」
針で全身を刺す。
二枚の硬く分厚い石の板であらゆるところを挟む。
熱した砂利をふりかける。
目玉や傷口に臭い植物の汁を垂らす。
弱めの爆発魔法を足の指にそれぞれ命中させる。
「絶対に許さないからね」
髪の毛を吸引魔法で引っ張り最終的にはほぼすべての毛を抜く。
刃を出現させてぎりぎりすぐに死なない浅さで切り刻む。
彼が大切にしていたものを彼の目の前で破壊する。
長くした爪で全身を引っ掻く。
重力変化の魔法で自身を日頃の二百倍の重さにして何度も踏みつける。
……こうして、ピピが納得した時には、彼は息絶えていたのです。
◆
ちなみに私はというと。
国の権力者と結婚して裕福になりました。
◆終わり◆




