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美人で優秀な姉の方が良かったなどと言われ婚約破棄されてしまいました。が、それを知った姉は激怒し……。

「唐突に伝えることになったのはごめんとは思うけど……君との婚約、破棄させてもらうね」


 婚約者ルトインは私を家に呼んでそう告げた。


「君みたいなぱっとしない人じゃなく美人で優秀なお姉さんに来てもらうべきだった。今は心の底からそう思うよ。君は容姿も平凡だし魔法の才能もほどほど、あぁ、見ているだけで溜め息が出そうだよ」


 そう、私の家は、代々魔法使いを輩出してきた家柄なのだ。それゆえ、我が家に生まれた子は、大抵魔法の才能を持っている。私たち姉妹もそう。二人とも魔法が使える。ただ、その才能には差があって。私は平均的な魔法使いと同じ程度の能力だが、姉はより高度な魔法まで網羅しているため能力的には高級魔法使いに近い。


 しかも、容姿まで、姉が勝っている。


 本当に私と姉妹なのか? と思うこともあるくらい、姉は麗しい。


「ま、そういうことなのでね、さようなら」


 こうして婚約は破棄となった。


 姉と比べられて批判されることには慣れている。

 幼い頃からそうだったから。


 今さら腹を立てることはない。

 少し傷つくことはあっても。


 ただ、このことを姉に話すということに関しては、少々不安もある……。



 ◆



「婚約破棄された!?」


 大声を出して驚く姉。


「信じられない! どうしてよ! こんな可愛いのに!」

「姉さんの方が良かったみたい」

「はぁ!? 何よそれ! 酷い言い方!」


 姉は感情的になる。


「許せない! 可愛い妹にそんなこと言われたら、あたし黙っていられないわ!」


 姉は私を可愛がってくれる。

 でき損ない、と馬鹿にされても良いような私にも、いつも温かい視線を向けてくれる。


 それは非常にありがたいことなのだけれど。


 ただ、愛ゆえに私を傷つける者を許せないようで、彼女は時折感情的になる。


「話してくる!」

「ま、ままま、待って姉さん……」

「何?」

「そんなの……もう、もういいから……」


 これ以上ややこしいことになったらやっていけない。


「どうして? そんな風に言われたままで悔しくないの?」

「まぁ事実だし……」

「事実なわけない! あたしの妹は可愛いのよ!」


 少し恥ずかしい、が、照れている場合ではない。


「とにかく、もう、何もしないで……嫌なの、厄介なことになりそうで……」


 本心を打ち明けると。


「そう。分かった。じゃあ行かないわ」


 姉はルトインのところへ行くのはやめてくれた。


「でもあたし彼のこと許さないわよ」

「それはいいけど……」

「ふふ、ありがと。……じゃあお茶でもしましょ」


 こうして始まるティータイム。

 私は何も知らなかった。



 ◆



 二週間後、私は、ルトインが亡くなったことを知った。


 急なことで驚いたのだけれど。


「どうして彼が亡くなったか知ってる?」

「え。姉さん、急ね」

「あたしの使い魔がしたのよ」

「え……」


 姉が真実を教えてくれた。


 彼は姉の使い魔の魔法によって刃で切り刻まれたとのことだ。



 ◆



 その後私はしばらく実家にいたのだが、ある時親が紹介してくれた男性と結ばれることとなり、それからは夫と幸せに暮らした。


 二人の子にも恵まれて。

 日々忙しくも幸福の中。


 ちなみに姉とは今も仲良くしている。


 彼女は私の子のことも可愛がってくれるので嬉しい。



◆終わり◆

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