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馬鹿と言われ婚約破棄された私ですが、挫けず進んでいった結果、お金と権力を手に入れました。

「お前、ほんと馬鹿だな。明るすぎてキモイしよ。ってことで、お前との婚約はなかったことにするから。……ま、そういうことなんで、とっとと俺の視界に入らないとこに行ってくれよな」


 それは何ということのない平凡な晴れの日。

 ベージュのショートヘアが少年のような婚約者ウラルにそんなことを言われてしまった。


 馬鹿、そう言われるのには慣れている。


 だってこれまでもそうだった。

 彼はいつも私のことを馬鹿と言っていたからそこまで驚きはしない。


 もう少し言い方を考えてほしいなぁ、とは思うけれど。


 でも、彼にそんなことを言っても、喧嘩になるだけ。


「分かった、じゃあ私は消えるね」


 ウラルが私を良く思っていないことは知っていた。でもこれまではきっかけがなかった。だから離れられずにここまで来たけれど、彼が婚約破棄を告げてくるならちょうどいい機会。


「さよなら、ウラル」


 これをきっかけとして、私たちは終わりを迎える。


 それがお互いのため。



 ◆



 婚約破棄された直後、私は、周囲からちまちまと嫌みや悪口を言われることもあった。道を歩けば憐れみと見下す心理が交じったような視線を向けられ、くすくす笑われたり、時にはありもしないことを事実のように話されたりもした。


 でも挫けない!


 前を向いていれば、進むことをやめなければ、きっと希望はある。


 そう信じて、ただただ、懸命に生きた。



 ◆



 ウラルとの別れから数年、私は今、国の中枢で働く男性の妻となっている。


 彼との出会いはとある劇場。

 観劇に行った先で出会った。


 私たちはその日に仲良くなり、数カ月もかからず結婚した。


 彼は権力者で大金持ち。

 その妻となった私もまた、彼と同じように、お金と権力を得た。


 だからといって暮らしが大きく変わるかというとよく分からないけれど、一人でいた頃と比べれば贅沢ができるようになった気がする。


 美味しいものを食べられる。

 清潔なところで寝られる。


 そういう意味では、生活の質は大きく改善した。


 私を辛い世界から救い出してくれた彼には感謝している。


 ちなみにウラルはというと、地位を得て裕福になった私を侮辱したことで私の夫の怒りのターゲットとなってしまい、夫が雇った殺し屋によって始末された。


 最期、ウラルは、涙と緑の鼻水を垂らしながら無様に命乞いしていたそうだ。



◆終わり◆

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