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罠にはめられ婚約破棄された令嬢は別の国にて王妃となる! ~平穏でなくても魅力ある人生なのです~

 その国の有力貴族の娘であったフレデリカは、同じ有力貴族の子息であるオッポーと婚約していた。


 二つの家のための結婚。

 お互いそれは分かっていて。

 それでも、二人結ばれることを選び、婚約者同士となったのだ。


 だが、それを妨害する者が現れた。


 ある新興貴族の家の次女リリーである。


 リリーは親に「権力を得るため、オッポーと結ばれよ」と命ぜられており、フレデリカとオッポーを引き裂くため行動を開始したのだ。


 まずはオッポーに近づいて色仕掛けをし、それから、仲が深まるにつれてフレデリカの悪口を言うようになった。


 最初こそそこまで相手にしていなかったオッポーだが、段々リリーを愛するようになり、いつしか彼女が話す嘘を信じ込むようになっていった。


「フレデリカ、お前とは終わりにする。悪女とはやっていけん。よって、婚約は破棄とする。これからはこの可愛いリリーと生きるんだ。だから……さよならフレデリカ」


 彼はそう言って一方的に婚約を破棄した。


 フレデリカはただきょとんとしていることしかできなかった。

 あまりにいきなりだったので。


 その後、リリーはオッポーと結婚。


 フレデリカは一旦実家へ戻ることとなる。


 が、婚約破棄されたフレデリカを待っていたのは、とある出会いだった。



 ◆



 フレデリカはある日の夕暮れ時自宅付近の庭園で一人の青年に出会った。

 天使の羽のような白い服を来た青年。

 その少し異国風な容姿に興味を持ったフレデリカは彼に話しかけてみる。


「ああ、実は……この国の人間ではないんです」

「やはり……!」

「この格好じゃばれちゃいますかね」

「綺麗ですよ。悪い印象はないと思います」


 それから何度か顔を合わせた二人。

 次第にお互いに惹かれてゆく。


 そして、出会いから数ヵ月、フレデリカに手紙が届いた。


『貴女と結婚したいという思いがある』


 それは彼からのプロポーズだった。


 フレデリカはそれを受け入れた。

 他国へ行かなくてはならないかもしれないことには多少抵抗はあったけれど。

 それでも彼といたかった。


 彼がとある国の王であるとフレデリカが知ったのはそれからで。


 けれども二人は結ばれた。


「これからよろしく」

「はい、こちらこそ」


 王と王妃。


 二人を待つのは、幸せな未来だ。



 ◆



 一方その頃。

 オッポーとリリーは離婚していた。


 リリーの罠にかかり結婚にまで持ち込まれたオッポーだったが、リリーの家が自分の家の名を悪用していることに気づき、それによって離婚を決めた。


 リリーとその親は、オッポーの家の信頼を利用し、多額の借金をしていたのである。

 しかもそのほとんどが贅沢な生活をするため。

 返済者の欄にはオッポーの名前を勝手に記入していた。


 離婚後、リリーの家は、オッポーの家から償いのお金を支払うよう求められて。その支払いのためにまた借金をすることとなり、最終的には娘二人を売りに出さなくてはならないこととなってしまった。


 だがオッポーの方も苦労があって。

 リリーらに勝手に作られた借金の返済をしなくてはならなくなったのだ。


 それによって、彼もまた、貧しくなってしまった。


 オッポーとリリーがフレデリカに会うことは、もう二度とないだろう。



◆終わり◆

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