表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
186/1194

スキもキライもどうでもいいよ! ~婚約破棄なんかに動じている暇はありません~

 あたしリリーは領地持ちの家の息子ルットと婚約しているの。


 出会ってすぐの頃、彼はいつもあたしのことを褒めてくれた。

 だから彼のことは好きだったんだけど。

 いつからか彼はあたしでない女の人に目を向けるようになっていっちゃったんだよね。


 で、今朝。


「リリー、俺、これからは本心に素直になって生きるわ」

「どうしたの? 急に」

「あーもう言わなくても分かってくれよ!」


 分かるわけがなかった。

 あまりにも突然過ぎて。


「婚約を破棄する、って言ってんだよ!」


 思わず「え」と一音だけをこぼしてしまう。


 察してくれ、みたいなことを言われても無理だよ。だっていきなり過ぎるんだもん。もうちょっと察せそうな内容なら話は別だけれど。


「婚約破棄……するの? 本気なの?」

「あぁ」

「あたしはもう嫌になった?」

「ま、そんな感じだな」


 少し考えて。


「そっか。分かった。じゃ、そうしよう」


 短めに返した。


 でも残念だな。

 前は好きって言ってくれたのに。


 でも心が変わったなら仕方ないよね。


 他人の心なんて動かせるものじゃないし。

 だったらさっさと離れた方が良い気がするよ。


「いいのか?」

「うん! そうしよ」

「そ……そうか、そうだな、分かった」


 彼は少しだけ戸惑っている様子だった。


「ま、俺も嫌いになったし。じゃ、ばいばい、な」


 好きとか嫌いとか、正直今はどうでもいいよ。


 とにかく次!

 こんなところで立ち止まっている暇なんてない!


 前へ進むよ。



 ◆



 それから数年、あたしは、歴史ある王家にもパイプを持つような家の息子である男の人と結婚したよ。


 彼はあたしより八つも年上。

 少しばかり年が離れているんだ。


 でもとっても優しいしいつも気を遣ってくれるの。

 それに威張りもしない。


 まさに理想の人! って感じかな。


 彼との毎日はとっても楽しくて、今はここに嫁に来て良かったって心の底から思えているの。


 ちなみにルットはというと、あたしとの婚約期間中にこっそり付き合っていた女性と結婚したみたい。


 色々あって女の人の親との同居って形になったんだって。


 珍しいよね。

 まぁそれはいいんだけど。


 でもルットは大酒呑み義父から暴力をふるわれるようになってしまったんだって。


 そんなある日、ルットは些細なことから酔い気味の義父と口論になってしまって、途中で包丁で刺されてしまったんだって。


 結局ルットはその時の傷によって亡くなったとか。


 お酒って怖いなぁ。


 ま、もうあたしには関係ないんだけどね。



◆終わり◆

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ