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婚約破棄されたので山菜採りで私なりに人生を輝かせます。

「おまえとの婚約だが……本日をもって破棄とする!!」


 婚約者ボノボンは口を顔の半分に達しそうなくらい大きく開けて宣言した。


 なぜそこまで大きく口を開けなくてはならないのか。

 はっきり言わせてもらうと、謎でしかない。


「婚約破棄ですか? なぜです?」

「婚約を破棄したくなったからだ」

「それが理由ですか……」

「あぁそうだ」


 婚約を破棄したくなったから、か。


 それが理由なのなら仕方ない。

 きっとこちらが何を言っても無意味なのだろう。


「そうですか……それにしても、婚約破棄したくなったから、なんて、珍しい理由ですね」

「うるさいな、黙れよ」


 失礼ね! 急に、黙れ、とか!


「……では私はこれで」

「ああ、そうしてくれ」

「はい。では。……さようなら、ボノボン」


 こうして私たちの関係は終わる。


 でもそれで良かった。

 婚約を破棄したくなったから、なんて理由で婚約破棄してくるような人となら、早いうちに別れておく方が良いだろう。


 これからは私なりに生きていこう。


 もう自由なのだから。


 見上げた空は晴れていた。


 その後私は実家へ戻った。

 それから家族で母方の実家がある村へと引っ越した。


 そこで私は山菜採りを習うことになった。


 最初のうちはあまり興味はなかったが、いろんなことを見聞きして知るうちに段々気になってきて、気づけば強い興味を持つようになっていた。


 そしてやがて、山菜販売の店の手伝いをするように。


 山菜によって動き出す人生。

 すべてが変わっていく。



 ◆



 あれから七年、私は今も山菜採りとその販売を続けている。


 当初に比べてかなり詳しくなったので、今では、ちょっとした質問にであればすぐに答えることができる。習ったことと見たり経験して学んだこと、それらを駆使すれば、山菜のことはおおよそ分かっているのだ。


 いや、もちろん、まだ知らないこともあるだろうけれど。


 私は今のこの人生を悪いものとは思っていない。

 むしろ良いものと思っている。


 そう、この人生は、ある意味最高だ。


 ちなみにボノボンはというと、漁師をしている知人から貰ったふぐを食べたことで毒に犯されてしまって亡くなったそうである。


 毒は恐ろしいな……、と、心から思った。



◆終わり◆

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