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婚約破棄? どうぞ。私、もっと良い相手がいますから。……話はもういいですか? ではこれで、さようなら。

「婚約破棄、ですか?」


 ある日のこと、婚約者である三つ年上の男性ガーランドに急に呼ばれたと思ったら婚約破棄を告げられた。


 最初は信じられなかった。

 本気か? と。

 何かの意図で冗談を言っているのかと思ったくらいで。


 でも彼は真剣だった。


「君よりも僕に相応しい女性に出会った。だから僕は先へ進むよ。僕は妥協しない性格なんだ、もっと良い人がいるのに付き合いでいつまでも君といるなんてことはできやしない」


 まぁべつに好きにしてもらえばそれでいいのだが。


「悪いね、伝えるのが急になってしまって」

「いえ」

「……今悔しいかい?」


 彼はそう尋ねて期待したような目をした。


「残念ですが、その問いの答えはノーです」


 私にはかつて愛してくれた人がいた。その人は長男ではないものの王子だ。私とは少々身分違いだが、私を愛してくれていた。そして、大人の事情で私の婚約が決まった時にも「何かあったら力になるからね」と言ってくれた。もっとも、ガーランドと婚約してからは会っていないのだが。


「では私はこれで。失礼します」

「待って! 悔しいよね? 本当は悔しいけど隠しているんだよね!? 強がりだよね!?」


 ガーランドは色々言ってきたが、それらは無視した。


 もう他人になったのだ。

 話すことなどない。



 ◆



 婚約破棄された私はかつて結ばれるかもしれなかった彼に連絡。

 ガーランドとの関係が終わってしまったことを告げた。


「それは……急に婚約破棄とは驚きですね」


 王子アルフリウスはまだ独身だった。

 会いやすくて助かる。

 もし彼に妻がいたとしたら、二人で会うなんてことはしづらかっただろう。


「それで、これからに関して、心は決まっているのですか?」


 彼はティーカップを傾け毒味済みの紅茶を口腔内へ注ぐ。


「それがまだ考え中で」

「ではわたしと結婚しますか?」

「え」


 アルフリウスは笑みを浮かべる。


「どうですか?」


 彼は本気? 弄ばれている? ……いや、もしかしたら、本気で言っているのかもしれない。今の彼はそんな感じの顔をしている。


「それも……ありですね」

「では決まりです!」


 こうして彼と結婚することになった。



 ◆



 あれから数年。

 最近になってガーランドのその後について知った。


 彼は今、妻の手で二人の家にある自室に監禁され、部屋から一歩も出られなくなっているらしい。妻は殺す気はないらしく食べ物飲み物は定期的に出しているそうだが、外出は許可しないらしく。もう三年以上、彼は閉じ込められ続けているとのことだ。


 ちなみに。

 監禁が始まった理由は、結婚してすぐの頃に彼が一度浮気したことだそうだ。


 ま、自業自得だろう。



◆終わり◆

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