161/1194
婚約破棄、それからの日々。
昨夜、派遣された従者を通じて、婚約者から婚約破棄を告げられた。
すぐに本人にも確認してみた。
それは事実だった。
私は裏切られたような気分になって、一晩、ベッドの中でも眠ることができなかった。
なぜこうなってしまったのだろう。
そんなことばかりが脳内を巡って。
辛く苦しかった。
そして、夜が明ける。
空が明るくなっても、それでも、私の心はすぐには回復しない。
衝撃が多き過ぎた。
その日も一日のほとんどの時間を自室のベッドの上で過ごした。
◆
あれから数週間。
今朝、久しぶりに外へ出た。
少しだけ歩いて近くの海辺にまで行って、朝日を眺めた。
白い画用紙に淡い色の絵の具を使って描いたような海辺の夜明け。
とても美しくて、心が震えた。
これからは毎日ここへ来ようと思う。
そうすることで。
一度傷ついた心が回復する気がしたから。
◆終わり◆