婚約破棄されました。~私が馬鹿だった~
あなたもわたしを大切に思ってくれているのだと、そう思っていた。
「おまえなんかもうどうでもいいよ。終わりにしようぜ」
わたしはあなたを愛していたけれど、あなたはわたしを愛してはいなかった。
それが答え。
彼にはわたしより大切な人がいた。
その人のことはいつも気にしていて、毎日のように声をかけていたようだ。
わたしはたまに会ってお茶をするくらいだけだったのに。
思えば、婚約しているかどうかなんて関係なかったのかもしれない。わたしは婚約しているからと安心していたけれど、彼の心はもうここにはなくて。彼はその女性だけを見つめ、彼女だけを想っていて、わたしはどうでもいいただの婚約者だったのだろう。
もっと早くに気づくべきだった。
今はそう思う。
私が馬鹿だった。
それがすべてだろう。
目つき、表情、眉の角度、声……もっと色々なところを見て読み取らなくてはならなかったのだ。
でもそれがわたしにはできなかった。
わたしは一人浮かれて彼の一番近くにいる気でいた。
あぁ、馬鹿だなぁ。
今は心の底からそう思う。
けれどももう手遅れ。
わたしと彼が結ばれる未来は……なかった。
◆終わり◆