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その聖女に害を与える者、ざまぁされます! ~婚約破棄して痛い目に遭っても自業自得です~

 私には特別な力がある。

 そう、簡単に言うと、害を与えてきた者が痛い目に遭う力……ざまぁスキルである。


 その特殊な力を持っていたために聖女として扱われ国の王子の婚約者となった私は城で暮らし始めたのだが、私の力を詳しく知らない侍女やら何やらから虐められた。

 が、そういう侍女は例外なく、こちらが何をするでもなく滅んでいった。突然家族を亡くし心を病んだり、怪我をして働けなくなったり、その他にも色々。理由は様々だが、私を傷つけた者は、皆、数ヵ月以内に退職することとなってきた。


 そして今日。


「お呼びでしょうか」


 婚約者でありこの国の王子フィルセルに呼び出された。


 日頃は別の部屋で生活している。

 そのためいつも顔を合わせるわけではない。


 彼から呼び出されればすぐに駆けつけなくてはならないが……まぁそれは仕方ないことだ、婚約しているから。


「あぁ、悪いな急に」

「いえ」

「今日は重要な話がある」

「何でしょうか?」


 少し間を空け、彼は発する。


「君との婚約、本日をもって破棄とする!」


 何もそんな大きく発することをせずとも良いのに。

 騒がしい場所でもないし、この距離なら普通に言っても聞こえるというのに。


「聖女と聞いて国のため婚約したが、君はそれほど強くはなさそうだ。特別何かに秀でているわけでもない。よって、関係を続けることはやめにした」


 まぁ確かに私にあるのはざまぁスキルだけだから……。


「今日中に荷物をまとめて城から出ていけ」


 彼はそれだけ告げてすたすたと部屋から出ていった。

 その表情に私への気遣いの色は一切なかった。


 一度は王子の婚約者となった私だが、彼の声によって婚約は破棄となり、城を出ていくこととなってしまった。


 本当は何か言い返したいところだけれど。

 ああ言われてしまってはどうしようもない。


 秀でているところがないことは事実だし……。


 とはいえ私はまだ幸運な方だ。だって帰る場所がある。実家、そこへ帰れば両親が迎えてくれるだろう。婚約破棄された情けない娘でも、あの両親なら温かく受け入れてくれるはずだ。


「ただいま」

「え!? どうして!?」


 急に帰ったので母親を驚かせてしまった。


「婚約破棄されたの」

「えええ!」


 本当のことを告げるとさらに驚かれる。


 でも仕方ない。

 嘘はつけない。


「とにかく……入って。それから話を聞くわね」

「ありがとう母さん」


 事情を説明し、再び親と暮らすことになった。



 ◆



 あれから一ヶ月、王子フィルセルの訃報が国民向けに出された。

 訃報の内容上は急死となっているが。

 関係者から出たとされるとある噂が流れてくる。


 その噂によれば、ベッドにて、こっそり深い仲になっていたお気に入りの侍女の上に覆い被さるようにして亡くなっていたそうだ。


 その侍女が実は刺客だったらしい。


 王子と深い仲になることで彼の懐へ潜り込み、殺害したとのことだ。



◆終わり◆

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