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婚約破棄、それは終わりのような始まり。

 彼との婚約が決まった時、とても嬉しかった。


 見ている世界が色づいたようで。

 彼と結ばれることができる、そう思えるだけで、すべてが輝いて見えた。


 けれども三日前。


 希望に満ちた世界は一変した。


「もうやめよう、終わりにしよう」


 彼は静かにそう告げてきたのだ。


 私は泣いてしまった。で、そのまま彼の前から去った。それ以外のことはできなかった。その場から立ち去る、それがその時の私にできた唯一のことだったのだ。衝撃を受けた脳はなかなか回復せず、次の日もまた、ことあるごとに悲しみが込み上げて涙がこぼれて。その次の日も、泣くことに多くの時間を割いた。


 でも今日は泣いていない。


 あれから、今日で三日。

 そろそろ立ち上がらなくてはならないと思っている。


 いつまでも泣いてばかりでは駄目だ。


 そう思ったちょうどその頃、縁談が舞い込んできて。


「……初めまして」


 勇気を持ち、その人に会うことにした。


「このたびはありがとうございます、お会いできて嬉しいです」


 その人の翡翠のような瞳を目にした時、闇は晴れた。


「突然失礼しました」

「……いえ。こちらとしてはとても嬉しかったです」

「それは良かった」

「色々お話してみたいです」


 あぁ、枯れ果てた世界が蘇る……。


 物語は、終わり、また始まる。



◆終わり◆

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