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婚約破棄、それは不幸ではないと信じたい。
今朝ね、婚約破棄を言い渡されてしまったの。
この世って理不尽よね。
もっと良い人が見つかったから私はもう要らないんだって。
彼のために尽くしてきたのに、用済みなんて言われて。
……悲しさはあるよ。
でも私、このまま泣いていては駄目だって思うから、前を向かなくちゃ。
見上げる空。
森の木々、飛び交う鳥。
帰る家、親が待ってくれているあの屋敷。
この世界には温かな気持ちをくれるものがたくさんある。
だから。
いつまでも下を向いているわけにはいかないよね。
婚約破棄は不幸ではない。
そう思いたい。
……ううん、それは私の行い次第。
だからね、婚約破棄は不幸ではなかったって言えるように、前を向いて生きるの。
◆終わり◆