表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
127/1194

婚約破棄、それがすべてを終わらせた。

「君にはもう付き合えない。だって君、いちいち鬱陶し過ぎるもん。てことで、婚約は破棄するから」


 その言葉を告げられた時、私をこの世に縛っていた最後の鎖が砕かれた。


「そう……です、ね。では、これで。……今までありがとうございました」


 浮かべるのは笑み。

 これはただの作り物。


 気持ち悪いくらいの人工的な表情。


 私は彼の前から去り、いつもよく遊んでいた森へと駆け出す。


 走ると風を浴びられて気持ちいい。

 そう思っていた頃もあったけれど。

 今は風にさえ嘲笑われているような気がして。


「……よし、終わらせよう」


 私は生まれてからずっと辛い思いばかりしてきた。唯一の希望である母親は早くに亡くなり、前の妻の血を引くために父親には鬱陶しがられ、義母となった女性とその娘たちからは嫌われ馬鹿にされてばかり。家庭環境もあり皆からは引かれ、友人もろくにできなくて。虐めてくる人だけが周りに集まっていた。


 良いことなんてなかった。


 彼との婚約以外、は。


 彼だけは好きだった。

 彼がいるから生きていられた。


 でも……それすらも失った私は、もう、ここに立ってはいられない。


「終わりね、これで」


 今日、今ここで、すべてを終わらせる。


 最期の瞬間思う。


 もしも次があるなら、その時は……。


 幸せに、生きたいな。



◆終わり◆

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ