婚約破棄、終わり、そして始まり。
今日、今から遡ること二時間半ほど前、愛していた婚約者から婚約破棄を告げられた。
思えば、私と彼の出会いは平凡なものだった。親と親が知り合いで、紹介ということで、二人顔を合わせることとなったのだ。
私自身も最初はそこまで惚れ込んだわけではなかった。
けれども関わるうちに彼の良いところを見つけて。
言葉を交わすたび、一緒に過ごすたび、彼に関する良い記憶が増えていった。
でも。
私は彼を愛していたけれど、彼は私を愛してはいなかった。
改めて突きつけられた。
私がこんなにも辛いのは、婚約破棄となったからというのはあるけれどそれだけでもないのかもしれない。
彼が私を愛することはない。
それを直接突きつけられたことが辛いのかもしれない。
今はぼんやりとした頭でそんなことを思う。
でもそれももう終わり。
私は今日終わる。
◆
私は一度死んだ。
けれども一人の青年に助けられ、なぜだから分からないが、今またこの世に舞い戻っている。
見上げた空は澄んでいてとても綺麗だった。
これからのことは分からない。
それでも、明日はまたやって来るのだろう。
◆終わり◆




