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愛していないように見えるから、と、婚約破棄されてしまいました。

「君、僕のこと、愛していないだろう」


 婚約者オーメングは突然そんなことを言ってきた。


 何事?

 そう思っていると。


「君の瞳には僕への憧れの色がない。よって、婚約は破棄とする」


 何という話の飛躍。

 疑問符ばかりが脳内に湧いてくる。


 何がどうなってそんな話になったのか……。


「待ってください、それはさすがに話が飛躍し過ぎでしょう」

「は? 前にも何度も言っただろ。にもかかわらず心を入れ換えなかった君が悪いよ」


 いや、聞いていないのだが。


 言っていないことを言ったかのように言うのはやめてほしい。

 迷惑としか言い様がない。


「まぁいいよ! とにかく、婚約は破棄だから! いいね、速やかに出ていって」

「滅茶苦茶ですね」

「僕が言ったことがすべてなんだ」


 はぁ……なんと世間知らずなのだろう……。


 とはいえ、この人と生涯を共にするのはかなりしんどそうだ。離れるなら今なのかもしれない。正式に夫婦となってからでは手遅れになってしまう。


「承知しました。では……失礼しますね」


 笑顔でそう言って、彼の前から去った。


 オーメングとの婚約が壊れたことが世に広まると、私との婚約を希望する者が何人も現れた。が、そのほとんどが、私自身というより私の家柄を狙っている者で。会ってみることになった人もいたが、私そのものにはそれほど興味がなく、おまけ程度に考えているようだった。なので断った。そういう人と結婚する気はなかったから。


 そんなある日、私は、庭園散歩中に一人の青年と出会う。


 彼は私に興味を示さなかった。

 けれど私は彼に興味を抱いてしまった。


 それからアピールを繰り返すもなかなか上手くいかなくて……でも、ある時、転機を迎える。


 国王暗殺事件が起き、その首謀者ではないかと彼が疑われたのだ。

 私は「彼はそのようなことはしていない」と主張。

 危うく処刑されかけた彼だったが、何とか無罪となり、処刑は免れた。


 それ以降、私たちはぐっと親しくなる。


 そして、数年後、彼と結婚することができた。


 今は幸福の中にいる。

 彼と共に過ごせる時間は宝物だ。


 ちなみに、国王暗殺を試みたのはオーメングの家で。


 そのことが暴かれたことによって、オーメングを含む一族は絶やされたそうだ。


 オーメング自身も散々拷問のようなことをされた後で処刑されたとのことである。



◆終わり◆

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