表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1145/1194

可愛く素敵な親友が婚約破棄されました!? なんてこと! 納得できません! ……でも取り敢えず幸せになってくれればそれでいいです。

「今度ね! お金持ちの子息と婚約することとなったの!」


 親友ネイリがある日突然告げてきた。


「そうなの!?」


 いきなり告げられて自分でも意外なくらい驚いた。


 というのも、ネイリは男との関係をあまり持たない女性だったのだ。


 美しい容姿でありながら異性にはあまり関心がなく、さらに、奥手なので余計に発展もしない――そういう人から婚約を聞かされたから、とにかく衝撃だった。


「ええ、そうなの~」


 でも大好きな親友が幸せそうだと私も嬉しい。


「うっそ! 羨ましいーっ、でもやっぱり、そんな感じだろうと思ったよ! ネイリは可愛いからっ」

「ネイリ、嬉しそうね!」

「うん、本当はね、彼のこと……好きだったの」

「そっかぁ。ああ、でも、いいよね~そういうの。良かったね! きっと幸せになってね、ずっと応援してるよ!」



 ◆



 数ヶ月後。


「婚約破棄された……」

「ええっ」


 ネイリは婚約破棄されてしまったらしい。


「性格が可愛くない~って言われたの」

「何それ酷い!」

「まぁ確かに、ぶりっことかはしていなかったけど……」

「気にしちゃ駄目だよ! ネイリは最高! 可愛い!」


 その婚約者は見る目がない。

 心の底からそう思った。


 だって、彼女は、ネイリは、とても素敵な女性なのに。


 同性から見ても素晴らしい女性なのに、それを悪く言うなんて――損な人、とてもまともとは思えない。


 好みという要素があるとしても、だ。


「きっと幸せになれるから! もっといい人に出会えるよ!」


 ネイリは何も悪くない。

 そう伝えたい。

 とても素敵な女性なのだから自信を失わないでほしい。


「ありがとう……」

「何かあったら呼んでね、協力するから」

「う、うん! でも……もうしばらくは婚約とかはいいかな」

「……そっか」

「だから、また、こうして会ってくれる?」

「そんなくらいなら任せて! いつでも会えるよ!」

「ふふ、優しいね~」

「そ、そうかな!?」



 ◆



 あの後、ネイリとの婚約を破棄した男性が、私に婚約希望の意思を伝えてきた。


 もちろん断った。


 彼が心ない人だと知っている。

 だから騙されない。

 関わっても不幸になりそうなので丁寧にお断りした。


 それから少しして、彼は自殺したようだった。


 でもべつに私のせいではない。


 死を選ぶこと。

 それもまた彼の選択だ。


 ちなみにネイリはというと、隣国の第三王子に見初められてその人と結婚した。


 今も幸せに生きているようだ。

 たまに手紙をくれる。

 そこにあるネイリの言葉たちは輝きに満ちている。



◆終わり◆

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ