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失礼な言葉付きで婚約破棄されてもやもやするので木を斬り倒します。

 私、シルヴィアは、ありふれた二十歳女性です。

 しかし婚約者バンタムにはどうも好かれていないようで、どうすれば良いのかと迷っていたのですが。


「婚約、破棄するから!」


 ついにそう言われてしまいました。


 せっかくのご縁だったのに。

 こんな形で終わってしまうなんて、残念なことですね。


「もともと好きじゃなかったんだよねー、おまえさんのこと。だってさぁ、美人なだけのクズだしさぁ、美人なところ以外魅力ゼロだしさー、おまえさんってガチヤバ女だよねー」


 彼は少々不思議な言葉遣いをする人です。

 いつもこんな感じです。


 そういえば、いつか、友人が教えてくれました。


 バンタムの言葉遣いがこの世において珍しいものであり、また、よほど親しくなければ失礼とされるものであることを。


「おまえさん、ガチクッソンだわー。俺に相応しくないわー。てことなんでー、バイビーン」


 彼は一人思う存分喋り、急に話を終わらせました。



 ◆



 美人なだけのクズ。

 ガチヤバ女。

 相応しくない。


 言われた言葉たちが後になってもやもやさせてきます。


「そうだ! こういう時は!」


 急に良いことを思いついた私は、自宅の敷地内に入るや否や、物置へ走ります。



 ◆



 数時間後、私は森にいました。


 服はつなぎ。

 手には我が家に代々受け継がれている伝説の斧『オババボンドンルボンバストンエブリベオンバステンオババンバンストス』を持って。


 そう、ストレス発散に木を斬り倒すことにしたのです。


「ん……せぇええええい!!」


 まず一本、細めの木から倒します。

 これはあくまで練習。

 本当の発散はまだ始まっていません。


 ちなみに、この森の木は斬ることが許されています。


「ほぉーっ……いいいいいぃぃぃぃぃああぁぁぁぁぁぁッ!!」


 少し太めの木をいってみました。

 女性が倒すのは無理そうなものですが、『オババボンドンルボンバストンエブリベオンバステンオババンバンストス』の威力があれば話は別です。


「んーっ……はあっい! はぁーっぃいいい! はぁぉーっぃ!」


 今度は三本連続。

 木を倒すたび地面が揺れます。


「はぁー……っせええええぇぇぇぇぇーっいいいぃぃぃーっふぉおおおおおおおおおお!!」


 まだやめません。


「ふーっ……っせえええいっ!」


 徐々に心が晴れてきたように感じます。


「はいいいいいいい!」


 あぁ、なんて心地よいのでしょう。


「くぉおおお……っ、はあああぁぁぁぁぁぁぁああああああぁぁぁあぁぁーッ!!」


 ふう、と、息を吐き出します。


 もやもやはどこかへいってしまいました。

 もはや重苦しさは一切ありません。

 良い汗もかけましたし、そろそろ帰ることにします。



 ◆



 後日知ったのですが、バンタムは謎の地震のような現象によって崩壊した建物の下敷きになってしまい、何とか救出されるも手遅れで亡くなってしまったそうです。



◆終わり◆


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