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姫は婚約者を妹に奪われましたが、その後、父親が妹と乗り換えた彼に罰を与えました。~二人の姫がいる国にて~

 オレーイン族の姫は二人いる。


 一人は長女、長い黒髪がお淑やかだが少々地味めなリア。

 もう一人は次女、華やかさを生まれ持っていておしゃれも大好きなミレア。


 二人は同じ親を持つ娘たちでありながら完全に反対の性質を持っていた。


 ある時、リアは人間族の国の王子ガイアと婚約する。


 それは国と国の関係を深めるための婚約。

 つまりリアはオレーイン族の未来を守るために人間のもとへ嫁がされたようなものだった。

 だがリアはそれを嫌がってはいなかった。

 それが姫の運命だと知っていたし、ガイアも異種族である自分に対しても優しかったから。


 だがやがてすべてが狂い始める。


 姉がガイアと一緒にいて幸せそうにしているのが許せなかったミレア、彼女がガイアに手を出したのだ。


 裏でガイアに近づき、持ち前の器用さをフル活用して誘惑した。


 その結果、ガイアはリアよりミレアを選ぶことを決意する。


「リア、悪いが婚約は破棄とさせてくれ」

「えっ……」

「俺は妹さんを愛してしまった、リア、お前みたいな地味な女を愛することはもうできない」


 リアは泣いたが婚約破棄は受け入れた。

 そうするしかなかったからだ。


 その後ガイアとミレアは大急ぎで結婚した。


 しかし二人は幸せにはなれなかった――というのも、妹が姉の婚約者を奪ったと聞いてオレーイン族の族長が激怒したのだ。


「その男とミレアをここへ連れてこい!」


 ちなみに族長というのはリアやミレアの父親に当たる。


 ――それから少しして、二人がオレーイン族の国へ連れられてきて。


「ミレア、お主、姉の婚約者を奪ったそうだな?」

「お父様ったら言い過ぎぃ、奪ったとかひどぉい。そんなわけないじゃないですのぉ」

「だが事実そうなったのだろう」

「惚れられた、だ・け!」

「しかし関わりを持とうとしたのはお主ではないか」

「ま! お父様ったら、どうして? ミレアには殿方に挨拶する権利すらないって言うんですの?」


 ミレアはとぼけていたけれど彼女は許されることはなかった。


 ――そして。


 ミレアは勘当を言いわたされた。

 そしてオレーイン族の国から追い出された。


「お願い! 帰らせて! 帰らせてぇ!」


 彼女は泣いていたけれど、国内へ戻ることは許されなかった。


 一方ガイアはというと――


「今からお主を打ち上げる」

「はぁ!? ふざけるな! そんなことしてただで済むと思うなよ!? 王子だぞ!? 俺は王子、そんなことをしたら滅ぼされるぞ!?」

「案ずるな、お主の記憶はこの世のすべての者から消える」

「なっ……!?」

「そういう術があるのだ、我らには」


 ――花火と共に打ち上げられて死亡した。


 その後一人の姫となったリアは、生まれ育った地で穏やかに生き、やがて族長の座を継承した。


 リアが治める国はいつも平和だった。


 この先も、彼女の導きのもと、オレーイン族はますます発展してゆくことだろう。



◆終わり◆

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