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私との婚約を破棄した彼のその後の人生は、驚くくらい良いことのないものでした。

 私の婚約者であった青年ラルク・フェリナム。

 彼はある時一方的に婚約破棄を宣言。

 驚くほど身勝手に、無理矢理、私との関係を強制終了させた。


 そんな彼は、その後、悪いことばかりで人生を終えることとなる。


 まず、私との婚約を破棄した翌朝、飼っていた二匹の愛犬が謎の死を遂げた。

 しかもラルクの部屋の中で。

 それによって妹から「お兄ちゃん何かやらかしたんじゃないの!?」と愛犬殺しの疑いをかけられ、そのことに苛立ったラルクはある時衝動的に妹を数回殴ってしまう。


 そしてラルクは親から勘当を言いわたされた。


 彼は「そんなことを言うならいいさ! 縁を切ってやる!」と言って家を飛び出していく。


 その時からラルクはフェリナム家の人間ではなくなった。


 その後、新しい家と職を探すもなかなか上手く見つからず。


 冬だったこともあって風邪を引き、それをこじらせてしまって、路上で気を失ってしまった。


 そんな彼が次に意識を取り戻した時、山賊らの基地となっている小屋にいて。鎖で四肢を拘束された状態だった。


 混乱するラルクに、山賊らは言い放つ。


 ――今日からお前は俺らのおもちゃで奴隷だ。


 それからは山賊たちにこき使われる日々が始まって。

 ラルクは人として扱ってもらえなくなり。

 汚れ仕事や皆が嫌がる仕事をばかりを大量に押し付けられることとなっていって。


 やがてラルクは死を選んだ。


 が、死に損なってしまう。


 そのあたりで心が壊れたラルク。

 かつての精神は失い。

 四六時中よく分からない言葉を発している壊れた人形のようになってしまって。


 そんなだから、やがて山賊らに捨てられた。


 そしてその後行くあてもなく山道を彷徨っていたところを熊に美味しくいただかれ、彼の人生は終わった。


 ――というのが、ラルクの残りの人生だった。


 一方私はというと、彼との縁は婚約破棄によって切れてしまったけれど、その後気の合う人に巡り会えて良い結婚をすることができた。


 あの時ラルクに執着していなくて良かった、と思いつつ。


 今日も穏やかに楽しく生きている。



◆終わり◆

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