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私に嫌がらせばかりしてきていた妹が婚約破棄されました。~今までの行いのせいですかね~

 私には四つ年下の妹がいる。


 名はエリーナという。


 彼女は小さい頃から親に溺愛されて育ったためにわがままになってしまい、いつしか、姉である私に対してこまめに嫌がらせをしてくるようになった。


 私はいつも彼女に嫌なことをされた。でも本当のことを言っても信じてもらえず。妹を陥れるようなことをするなんて、と、親から怒られてしまったこともあるくらいだ。私は嘘なんて何一つとして言っていないのに、である。親はいつだって妹の味方をしていた。


 そんなエリーナだが、一ヶ月ほど前、ずっと憧れていた男性と婚約。


 それにより、家を出ていった。


 両親は彼女が家から出ていくことを心配していたけれど、私は正直なところとても嬉しかった。だって、彼女がいなければ彼女に嫌がらせをされることはないし、私ばかりが悪者にされることもないのだから。


 こんな風に思うなんて、私は悪女だろうか?


 いや、そんなことはないはずだ。


 嫌がらせばかりしてくる人がどこかへ行ってくれるとなれば、誰だって、少しは嬉しさを感じるはずである。


 エリーナのいない家は快適だった。

 いつ何をされるか警戒していなくて良いから、である。



 ◆



 その日、エリーナは、号泣しながら帰ってきた。


 話を聞けば婚約破棄されたらしい。

 その理由は『自分が欲しいと言ったものをすべて買わせようとするのには付き合えないから』というものだったそうだ。


「お父様! お母様! あの人は悪魔よ! だって、わたしが欲しいものをすべて買うことさえしてくれないの。そ男なら、婚約者なら、わたしが欲しいものくらい買って普通でしょう!? それを拒否して、しかも婚約破棄だなんて。許せない!!」


 エリーナは真剣に怒っているようだった。


 家庭環境のせいだろう。

 彼女はそれが普通と思っているのだ。


「エリーナ、落ち着いてくれ。父が説得してくるから。待っていてくれ、な?」

「お父様……」

「大丈夫、きっと上手くいく。彼を取り戻せる」


 そう述べる父親の顔はひきつっていた。



 ◆



 父親はエリーナと関係を修復するよう婚約者に頼んだようだったが、失敗に終わったようで。

 その日の晩は凄まじかった。

 説得を失敗した父親はエリーナに罵倒されていた。


 以降、エリーナは自室にこもるようになった。


 彼女と顔を合わせる機会はほぼなくなり、彼女はもう、いてもいないも同然というような状態であった。


 その数ヵ月後、エリーナは自ら命を絶った。



 ◆



 エリーナの死から数年、私は今、結婚して穏やかに暮らしている。


 もう誰にも嫌がらせはされない。



◆終わり◆

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