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お前みたいなやつと一緒にいたら脳が腐る、って……何ですかそれ、大丈夫ですか?

「お前みたいなやつと一緒にいたら脳が腐る!! よって、婚約は破棄とする!!」


 理不尽なことほどある日突然やって来る――そんなものか。


 今日、婚約相手だったレルブデッヒから婚約の破棄を宣言された。


「俺にはもっと聡明で美しく奉仕の精神を持った女性が相応しい! お前みたいなどこをとっても中途半端な女は俺には似合わないのだ! だから、ここまで我慢してもらったことに感謝しろ! そして、俺が言う通り、俺の前から速やかに消えろ!」


 貴方は自分を何だと思っているの?


 もっと聡明で美しく奉仕の精神を持った女性が相応しい? ――呆れる。


 自分がどういう人間なのか考え直すのが先ではないか。


 とはいえ、ここまで言われてしまっては関係を元に戻すのは難しいだろう。


「分かりました、では私はこれで」


 終わりしかないなら、終わりでも構わない。


 べつに死ぬわけではないのだから。



 ◆



 婚約破棄された翌日、庭から埋蔵金が見つかった。

 それによって一気に大金持ちとなり。

 家や物はすぐには変わらないけれど、私たちを取り巻く環境が一変した。


 そして。


「この前は悪かった! あれは気のせいだった。やはり君しかいない! もう一度、婚約してくれ! お願いします!」


 レルブデッヒは再び私の前へ現れた。


 でも、金目当てだということは分かっている。


「すみませんがお断りします。……さようなら」

「待ってくれ! 話をしたい! もう少し話を聞いてくれ、そうすればきっと分かってもらえ――って、ええええええ!?」


 レルブデッヒが粘ろうとした瞬間、背後から多数の蜂が飛んできた。


「おぎょぎょぎょぎょぎょぎょおおおおおお!? あふぅ!? ぎぼぉぉぉぉぉぉぉぉぎょおおおおぉぉぉぉぉぉぉッ!? あぶ! あぶ! あばっ、あばばばばっ、あぼがっ、ぐぼおっ、ぉっふ!? ぎゃあああああああああああああああ! 助けっ、ぎょぼ、だずげでえええええええッ!? あぼがっ! ばばばばば!!」


 ほんの一分程度でレルブデッヒは静かになった。


 蜂の群れ、恐るべし。


 その後レルブデッヒは死に、私は裕福な男性と結ばれた。


 あれこれ言われたのは不愉快だったけれど、あの時粘ってレルブデッヒに縋りついていなくて良かった。


 流れに乗っておいて良かった、と、今は心の底から思っている。



◆終わり◆

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