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子どもっぽい婚約者から婚約破棄されましたが、誠実で素敵な人に出会えたので満足しています。

「やーいやーい! お前みたいな真面目との婚約なんか、破棄だー!」


 私の婚約者ブブレスは少々幼稚な男性だ。


 彼は二十歳を越えている。

 しかしいちいち子どもっぽい物言いをする。

 わざとか否か。

 その辺りは掴めないけれど。


「酷い言い方ですね……相変わらず」

「はぁー? なんてぇー?」

「もう少し普通な感じで言えないものですかね」


 日頃ご機嫌な時の彼は見ていて可愛らしくもある。

 子どもっぽさが良い方向に出て。

 眺めていてほっこりできるような魅力があるのだ。


 けれど!


「出たよ真面目! まっじめ! まっじめ! まっじまーじーまーじーめっ。まっじめばーばあっ、まっじめばばあん、まーじーめ過ぎうざいって、はい! あーあーあーウザすぎぃっ」


 少しでも思い通りにならなかったらこれだ。


「婚約破棄だからな! いいな!」

「本気で言っているのですか」

「当たりめーだろ! 真面目のくせに疑うなよな!」

「そうですか。……分かりました、では」


 こうして婚約は破棄となった。


 でも、これで良かったのかもしれないと思う部分もある。

 なぜなら、彼と共に生涯を共にするのは難しいだろうと思ってしまうからだ。

 彼と生きるということは、子一人を育て見守るようなものだ。

 年齢に相応しい交流の仕方はできないだろう。


 それはつまり、一生疲れるということ。


 そんな人生は正直あまり嬉しいものではない。



 ◆



 ブブレスはあの後道ですれ違った際に好きになった女性に積極的にアプローチしていたそうだが、行動の順序が色々おかしかったために不審者として地域の警備隊へ通報されてしまい、迷惑行為という罪で逮捕されてしまったそうだ。


 で、今は、労働刑の最中らしい。


 まぁ……何とも思わないし何とも言えない。


 もはや赤の他人なのだから。

 私が彼に対して敢えて何か思う必要もないだろう。


 一方私はというと、近く結婚する予定だ。


「明後日、式か……」

「大丈夫ですか?」


 今、私は、彼と愛し合っている。

 私は彼を愛しているし、彼もまた私を思ってくれている。


 一方通行でない交流ができる、というのは嬉しいものだ。


 ブブレスが相手だった時には想い合うということはできなかった。

 だからこそ今が偉大なものに思えて。

 初めての関係性、言葉にならないくらいの幸福を肌と心で感じる。


「あ、ああ、もちろん……大丈夫だ」


 今は何も怖くない。


 私は。

 彼と一緒ならどんなことでもどうということはない。


「体調が悪いですか?」

「いや、その……緊張してしまって、な。君のような人を妻とすると思うと、責任の大きさを感じて……嬉しいのだが、どうしても、緊張して心臓が鳴ってしまう」

「大丈夫ですよ! 楽にいきましょう!」

「……すまない」

「いいんですよ、のんびり~とした心持ちでいきましょう!」



◆終わり◆

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