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婚約破棄されたので……踊る!!

 その日、私は、婚約者アバドンから告げられた。


「お前は顔以外良いとこなし! よって、婚約は破棄とする!!」


 ……そんなことを。


 アバドンはそう宣言してから私をほぼ強制的に彼の家から追い出した。

 早く出ていかなければ不審者として治安維持団体につきだすぞ、とまで言って脅して。


 もちろん私は従った。この状況で脅すような言葉を発する者とは関わりたくない。だから大人しく去ることを選択したのだ。彼に執着する気はなかった。


 帰り、森の中で。


 もやもやする。

 どこまでももやもやする。


 そうだ、婚約破棄されたことだし……踊る!!


 発散がてら踊ることにした。

 幸いここでなら誰にも見られないから自由に動ける。



 ◆



 右腕を前へ伸ばし、左足を真横に真っ直ぐにする。そこからぴょんと跳ね、今度は逆。左腕右足を伸ばす。それを交互に繰り返す。ぴょん、ぴょん、ぴょんこ、ぴょぴょぴょんこ、というような跳ね方で。途中からは首も左右に交互に倒す。


「はい! はいっ、はーい! はははーっい!」


 掛け声はこれだ。


「はい! はいっ、はーい! はははーっい! はい、はい! はいっ、はーい! はははーっい! はい、はい! はいっ、はーい! はははーっい! よいしょ、はい! はいっ、はーい! はははーっい! はいっと、はい! はいっ、はーい! はははーっい!」


 森に響き渡る掛け声。


 次は、右腕右足を正面に向けて伸ばし、片足だけで屈伸。


「ほほほい、ほーいー、ほいほーほーほい」


 ここは繋ぎである。

 声も控えめに落ち着いた調子で。


 そして。


「はい! はいっ、はーい! はははーっい! ほい、はい! はいっ、はーい! はははーっい! はい、はい! はいっ、はーい! はははーっい!」


 最初のふりに戻る。


 ただし今度は伸ばす時の足をルの字のようにするバージョン。


「はっ、ほっ、はい! はいっ、はーい! はははーっい!」


 たまに異なる動きを入れ込みつつ。


「はい、はい! はいっ、はーい! はははーっい! よいしょ。はい! はいっ、はーい! はははーっい! っ、はい、はい! はいっ、はーい! はははーっい! はい、はい! はいっ、はーい! はははーっい!」


 疲れてきても着実に進める。


「ほぉ、はい! はいっ、はーい! はははーっい! はい、はい! はいっ、はーい! はははーっい! はっい、はい! はいっ、はーい! はははーっい! はい、よいしょ、はい! はいっ、はーい! はははーっい! はい、はははいっ、はい! はいっ、はーい! はははーっい!」


 もやもやを振り払うような動きで。


「め、はい! はいっ、はーい! はははーっい! で、はい! はいっ、はーい! はははーっい! た、はい! はいっ、はーい! はははーっい! く、はい! はいっ、はーい! はははーっい! っはいはいはい。はい! はいっ、はーい! はははーっい! めで、はい! たく、はい! はい! はいっ、はーい! はははーっい! よいしょ。はい! はいっ、はーい! はははーっい! はい、はい! はいっ、はーい! はははーっい! ほいしょら、はいはい、はい! はいっ、はーい! はははーっい!」



 ◆



 踊りによって天に私の心が届き、アバドンは早死にした。


 いや、これは、正しく届いたと言えるのか……?


 特別死んでほしいとまでは思っていなかったのだが……。



◆終わり◆

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