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芸能人である婚約者が女優と親しくなっていました。結婚前から既にこれでは不安が大きいので、婚約は破棄します。

 私の婚約者ルべストリーツは芸能人だ。

 国内でもかなり有名な人。

 だから最初こそ私に対して敵意を持つ彼のファンもいたようだが、今では認められている。


 しかし、いつからか、彼はやたらと外泊するようになった。


 彼に予定を聞いても「どうなるか分からない」の一点張り、それ以上のことは何一つ教えてはくれない。


 だから薄々怪しいとは思っていたのだが――やがて、その勘は間違ったものではなかったのだと判明する。


 複数の知人や友人が彼の裏での行いを目撃したのだ。


「ルべストリーツさん、銀髪の女と歩いてたよ!」


「夜路上で女と口づけしていたみたい」


「なんかね、銀色の髪の女の人にね、婚約者の悪口言ってたよ」


 そんな情報がやたらと入ってくるようになり、私は調査を開始。

 するとすぐに判明した。

 女優である銀髪の女エトリッツと親しくしていることが。


 その後そのことを問い詰めてみると。


「はぁ? うるさい女だな! 俺ほどの美男子だと女も寄ってくるし、仕事がら女ともちょっと仲良くくらいはするものだ!」


 ルべストリーツは急に怒り出す。


 それだけでもおかしい。


 だって、何もないのなら、落ち着いてそう言えば良いだけだろう。

 それができないというのは。

 黒なのだと思われても仕方ない。


「でも……口づけもするくらいの仲よね?」

「はぁ!? 何だよそれ!! そんなの嘘に決まってんだろ!!」

「証拠もあるのですよ」

「何だと? あるってのなら出せや!」

「分かりました。では、はい。これです、写真」

「ん、ぐっ……!?」


 証拠物を提示するとルべストリーツは口を閉じてしまった。


「ということで、婚約破棄するわ」

「なっ、本気か!?」

「もちろんよ」

「ふ、ふざけるな! ふざけたことを言い出すな!」

「もう会わないと言える?」

「は!? 生意気なことを言うな! お前は黙って俺を信じて待っていればいいんだ!」

「いえ無理です。では婚約は破棄ということで」

「そうかよ! あーあーそうか! 分かったよ! なら婚約破棄でいいさ、何ならこっちから破棄してやる! お前との婚約なんぞ、破棄してやる!」


 ルべストリーツは逆ギレし関係を壊すような言葉を発してきた。


 こうして関係は解消することとなった。


 その後私はメディアにこの件に関して情報提供した。すると新聞に大きくこの話が掲載されて。それによってルべストリーツとエトリッツは批判の的となり、決まっていた仕事もそのほとんどを失うこととなったようだ。


 彼らが破滅したのを見届けて、私は領地持ちの家の子息と結婚。


 今は穏やかな幸福の中に生きることができている。


 特別な刺激はなくても、それでも、ほっとできるような空気の中にだって幸せというものは存在するものだ。



◆終わり◆

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