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浮気を繰り返し反省も一切しない貴方とはもう無理です。~私は幸せに生きることを諦めない~

 私の婚約者リルスは浮気が多い。


「ごめんって~、もうしないって~、それに! 君が一番だからさっ」


 浮気がばれた時、彼はいつもそんなことを言う。


 でも正直あり得ないと思ってしまう。

 まずへらへらしているのが許せない。


「そう言うのは何度目かしら」

「ええ~? 初めてだよ~?」

「五回目よ! 五回目! 忘れたの!?」

「えへへ~、忘れちゃったぁ~」


 これまでは謝罪を受けて許してきた。

 でももう許すことはできない!

 だってこれでもう五回目だ――それも婚約から半年も経っていないのに。


「もう限界よ! 婚約は破棄するわ!」

「ええっ!?」

「何驚いているのよ」


 ここまで強く言っても治らないというのは、もはや、浮気する病のようなものなのだろう。ならば注意など意味はないのかもしれない。それに対処する方法は、別れること、これしかない。


「耐えられないわ」

「そんなぁ! 酷いよ!」

「酷いのはそっちでしょう!!」

「捨てるの~!? 酷い、酷すぎるよ! ちょっとした失敗で捨てるなんて~!」

「ちょっとした? 呆れるわ。五回も裏切っておいて」


 これまで許してきたのがまずかったのだろう。


「謝ってももう無駄。婚約は破棄ね! さようなら、リルス」


 私はその場から去る。


 もう彼には会いたくない。顔も見たくない。できれば二度と。そのくらい彼には裏切られてきたのだ、これまで何度も何度も。


 もっと早く切り捨てれば良かった――今になって少しそんなことを思ったり。



 ◆



 婚約破棄から三年が過ぎた。


 リルスはあれからも女遊びを続けていたようで、その中で病を貰ってしまい、それによって四六時中苦しまなくてはならないこととなったようだ。


 来る日も、来る日も、痛みに苦しむ生活――それを経験すれば、彼も、少しは痛みというものを学ぶだろうか。


 信じたい人に何度も裏切られる痛みに比べれば小さな痛みだろう、肉体だけの痛みなんて。けれども少しは学びになるかもしれない。心の痛みよりずっとましだろうけど。でも、痛くて苦しい、ということが、ほんの少しは理解できるようになるかもしれない。


 ま、その時になって気づいてくれ。


 あの頃の私の辛さを。

 あの頃の私の痛みを。


 ……ま、無理だろうが。


 ちなみに私は、もうすぐ、結婚することが決まっている。


「明後日結婚式……早いものね」

「そうだな」

「これから、よろしくね」

「もちろん! きっと幸せにする」

「ふふ、ありがとう。お互い協力して上手くやっていきましょ」


 リルスとの日々は過ぎたもの。

 もはや遠い過去。

 だからいつまでも引きずりはしない。


 とびきり幸せになってやろう!


 ――今はそう思っている。



◆終わり◆

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