婚約破棄されましたが、父の力によって復讐完了です! ~不思議な力というのも案外本当に存在するものなのですよ~
「お前とはもう終わりだ!」
告げられたのはある昼下がり。
穏やかな空の日だった。
婚約者プルテイスタに呼び出され彼の家へ行き、招かれ、彼の自室へ連れていかれた。
そして今だ。
「え……」
「相変わらず理解力がないな! 婚約は破棄とする、ということだよ!」
「ええー!」
「何を驚いているのか知らんが俺の前からさっさと消えてくれ」
その時、扉が開いて、プルテイスタの自室に一人の女性が入ってくる。
「ねーえ、プルテイスタぁ、もういい?」
「ああいいさ」
「やったぁ~もう話終わったのねぇ~って、あら? 元婚約者さん? まだいらっしゃったの?」
長い茶色の髪と凹凸のある女性らしい身体が特徴的な女性。
「ま、そういうことだ。俺は彼女だけを愛しているんだ」
「そうですか……」
「お前にかける時間はない」
「…………」
「だからお前はさっさと消えろ! そして二度と俺の前に現れるな!」
仕方がないので、一礼してその場からは去ることにした。
◆
その後プルテイスタと彼が愛するあの女性は死亡した。
なぜか?
話を聞き激怒した父が山の神にそのように望みを託したからだ。
父は特殊な力を持つ一族の血を引いているのでそういうことができる――そういう力について、現在の社会では嘘だとか迷信だとか言われているけれど、だからこそそういう力を使いやすいのである。
だって、まさか、本当にそんなことができるなんて誰も思わないだろう?
プルテイスタと茶髪の女性は山を散歩していると土砂崩れに巻き込まれ亡くなったとのことだ。
ま、良かったではないか。
二人で同時に旅立てて。
それぞれが異なる場所で亡くなることにならなくて。
ちなみに私は、今、他の男性と婚約するかどうかという話が出ている。まだ確定はしていないけれど、恐らく、その人と結ばれることとなるだろう。裕福な家庭で育つも母親が厳しかったためにきちんと育った彼となら、きっと上手くやっていけるだろう。
◆終わり◆




