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二人並んで歩きたかった
詩のような作品です。
二人並んで歩きたかった
あの冬の夕暮れ
海沿いの道を冷たい風に吹かれながら
マフラーを揺らして
軽やかにステップを踏み
おどけて見せれば
きっと笑ってくれるだろう
そう思っていた
あの頃は貴方を
誰よりも愛おしく思っていて
だからいつも一緒にいたくて
押し掛けてしまったことも
失敗もあったけれど
それでも謝って
いつかは仲直りして
そうやって歩んでゆけるものと信じていた
二人並んで歩きたかった
でもあの冬の昼下がり
その願いは砕かれた
貴方が終わりを告げたから
その瞬間の風はあまりにも冷たく痛かった
私たちに幸せになれる道なんてなかったの?
私たちに結ばれる道なんてなかったの?
唇が震えて
何も言えぬまま
貴方の背を見送った
二人並んで歩きたかった
あの冬の夕暮れ
海沿いの道を冷たい風に吹かれながら
マフラーを揺らして




