道の終わり。
私たちは共には行けない。
そう気づいた時、私は初めて己の気持ちに気づいた。
いつからか貴方を特別に想っていた。知らぬ間に貴方が唯一になっていた。
――その現実を剣のように突きつけられて。
初めて理解した、私は貴方を愛していたのだと。
私の道、貴方の道、それらは確固たるもの。
互いの道が交わることはない。
たとえ、私も貴方も互いを嫌うことはなくとも憎しみ合うことはなくとも、いずれは対峙することとなる。
……恐らく最悪の形で。
それが私たちの運命だと気づいた夜、胸から流れる紅があまりに恐ろしかった。
けれども、私の痛みはそれでは終わらない。
いつの日かはもっと恐ろしいことになる。
そして、最も見たくなかったものを、この世で最も恐ろしい紅をこの手で生み出すこととなるだろう。
それでも、私は私の道を。
私が信ずる道を行く。
いつか流れた紅は胸にこびりつき、今や私の心を護る甲冑となった。
かつての想いは封印され、そして、貴方に向き合う。
その時が来たら――来てしまったなら、すべてを諦め、私は己の道を拓くために貴方へ剣すらも向けるだろう。
◆
「いつかはこの時が訪れると思っていたわ」
たとえ貴方の瞳が悲しげな色を浮かべていても。
「貴方の道はここで終わりよ……そして、私は私が信ずる道を突き進む! 立ち塞がるなら、たとえ貴方であろうと容赦はしない……邪魔者にはここで舞台を降りてもらうわ!」
あの頃の私はもういない。
そしてもうじき完全に消えるだろう。
貴方の生の終わり、それが、あの頃の私の終わりでもあるのだ。
「さようなら」
◆終わり◆




