婚約破棄された日の夕暮れ、再会したのは…… ~終わり、始まる、それこそが人生~
隣り合ってベンチに座れば、そっと、二人手を握り合おう。
そうすればきっと互いの心も少しは理解できる――かもしれない。
もちろん、絶対ではないが。
◆
「それは辛かったね……婚約破棄されるなんて」
昔仲良しだった彼と再会したのは、婚約者から婚約の破棄を告げられてしまった日の夕暮れ時だった。
私が住む町の近くへ引っ越し戻ってきた彼と偶然出会った。
そして少し色々話して。
そこで私は余計なことまで喋ってしまった。
けれどもそのおかげで今こうして彼と共に一緒に過ごせている。
「貴方に迷惑はかけたくなかったのだけれど」
「いいんだ、一緒に道を歩かせてよ」
「何それ。ちょっと変ね」
「ええっ」
「どういう意味? そんなことを簡単に言っていると勘違いされるわよ」
「勘違いじゃない、と思う……」
「待って、それって」
「会いたかったんだ、ずっと」
見つめ合えば、特別な空気が二人を包み込む。
そこには誰も入り込めない。
「君が一人になっているところに出会えて良かった。嬉しいよ。僕は運が良かったなぁ、って思ってる」
「何それ……」
「だから言うよ。僕と一緒に生きてみてくれないかな?」
終わり、また、始まる。
それこそが人生というものだ。
◆終わり◆




