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夢みる乙女ではいられない。~婚約破棄を告げられて~
私は夢みる乙女だった。
私は何も分かっていなかった。
今日、ようやく気がついたわ。
「君は一応確保していただけ。もっと良い人に出会ったから、君とはおしまいにするよ」
婚約者はそう言って私との関係を終わらせた。
その時に気づいたの。
私は愛されてなんていなかったんだ、って。
私が彼の婚約者だったことは事実で、でも、彼は私のことを愛していたわけではなかったの。
彼と出会った時、夢みる乙女でしかなかった私は、彼との未来を真っ直ぐに見つめてきたけれど……私は愚かだったの、彼の本当に気持ちに気づけなかったんだもの。
でもいいの。
もう夢は終わった。
今さらどうこう言う気はない。
もう夢みる乙女ではいられない。
過ぎたことはどうしようもないの。
だから私は……今日、生を終えるわ。
◆終わり◆