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愛し合っている、ということで、婚約破棄されました。~その後私は幸せになり彼は……~

「私たち、愛し合ってるの」

「そういうことなんだ」


 ある日突然衝撃が駆け抜ける瞬間がやって来る。


 赤髪の婚約者リグリーズが金髪の女性を抱き締めながらそんなことを告げてきたのだ。


 金髪の女性は勝気そうな人だ。こちらをチラチラ見ては優越感を絵に描いたような表情を浮かべている。貴女に勝ったのよ、とでも言いたげな様子。どうやら可愛い性格の女性ではなさそうだ。もっとも、リグリーズは彼女のそういう本性には気づいていないのだろうが。


「え……あ、あの、これは一体……?」

「悪いが身を引くてくれな、エリナ」


 エリナ、というのは、私の名だ。


 私は彼の婚約者だ。


 なのに身を引けと?

 私が引く側なのか?


 金髪女性が諦めて去るべきではないのか。


「待ってください、そんな勝手な……」

「勝手? 何を言うか、舐めているのか? ならばはっきりと言おう! エリナ、お前はもう要らないんだ! よって、お前との婚約は破棄とするッ!!」


 ここまでずっと共に歩いてきた。彼の仕事が上手くいくようできる限り協力もしてきた。少しでも彼の力になりたくて。


 なのに彼はそんな簡単に私を捨てられるの――?


「消えてちょうだいね? 元婚約者さん? ふふっ」


 私は走り去った。



 ◆



 いきなり婚約破棄を告げられて、女性と親しいところを見せつけられて、私の心は闇に染まりそうになったのだが――それから一ヶ月ほど経ってリグリーズの仕事が上手くいかなくなってきたという話を聞いて私は少し元気を取り戻した。


 やはり私が必要だったのだ、彼には。


 けれども彼はそんなところへは目もくれず、その時の感情だけを優先した。


 それで身を滅ぼすなら、ざまぁ、としか言い様がない。



 ◆



 あれから数年、私は共通の趣味を持つややぽっちゃり気味な青年と結婚した。


 彼との間には既に第一子も誕生して。

 今は忙しくも充実した日々を過ごしているところだ。


 そうそう、リグリーズはあの後仕事で大失敗し、借金まみれになったうえすべてが上手くいかなくなったそうだ。また、お金がなくなったためにあの女性からも次第に相手にされなくなり、やがて捨てられ。最終的には一人ぼっちで借金取りに怯える暮らしをするしかないということになってしまったそうだ。


 ま、それも彼の選んだ道だ。


 だから可哀想にとは思わない。


 彼はあの女性を選ばされたのではない。彼が自ら私を選んだのだ。それも、婚約者だった私をわざわざ捨ててまで、あの女性を選んだ。


 ならば、それによって起きることも、全部受け入れるべきだろう。


 後悔しても、もう遅い。



◆終わり◆

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