婚約破棄された日、幼馴染みと再会して……!? ~きっと幸せになってみせます~
子どもの頃、幼馴染みであったアイルトンと、初めて出会った大樹の前で誓った。
「将来、結婚しような!」
「するする!」
けれども年を重ねるにつれて関係は徐々に離れていって。
それぞれの道を歩み出し。
結婚するなんて無理だろう、と思うような関係性へと変わっていってしまった。
◆
二十歳の夏。
私にはプルテインストという婚約者がいたのだが。
「悪いな、もっと好きな人ができた。だからお前とは終わりにする。婚約は破棄だ」
いきなりそんなことを告げられてしまって、それによって、私とプルテインストの関係は終わりを迎えてしまう。
「彼女はとっても素敵な人なんだ。美女で、なのに控えめなところもあって、奉仕の精神も素晴らしい。俺に忠実だし。お前みたいな平凡で真面目なお前とはまったく違う。彼女はお前が持っていない素晴らしさをすべて持っている」
プルテインストは新しく愛した女性のことを過剰なくらい褒めていた。
あまり聞きたくなかったな……。
けれども関係は終わった。
もうあれこれ言っても意味などない。
だから流しておいた。
――だが、婚約破棄を告げられたその日の夕方、家の近くの森で虚しくて泣いていると。
「え……もしかしてリリー!?」
「あ、あの、どちら様ですか」
「俺だよ! アイルトン! 昔、よく遊んだだろ!?」
「あ……」
懐かしい顔に遭遇する。
そう、彼は、かつて仲良しだった彼だ。
成長して顔は変わっているけれど、でも、あの頃の面影は確かに残っているように感じる。
「どうしてこんなところにいるんだ?」
「いえ、気にしないで……」
「ええっ。隠すなよ! 何なんだよ!」
「言いづらいことよ」
「えー、隠されたら気になるだろー」
こうしてアイルトンと再会した私は、それからまた、彼と関わるようになっていった。
かつての二人はもういない、お互い色々変わってしまった。けれど関係は完全に壊れてはおらず。一度関わり出すと、みるみるうちに距離が近づいていった。
◆
あの婚約破棄から二年半、私は、アイルトンと結婚した。
「意外だわ、貴方とこんなことになるなんて……」
「俺も! 想像してなかった」
「でも、そういえば、昔……大樹の前で誓ったわね、結婚しよう、って」
「そういやそんなこともあったな」
かつて仲良しだった私たちが結ばれるのに理由なんて要らなかった。
「ま、あの時の誓いが現実になったってこと? か?」
「そうね」
「嫌だった?」
「いえ、べつに、そういうことじゃないわ」
「だよな! 俺も!」
「何よそれ……変なの」
こうして私は穏やかな幸福を手に入れられたのだが、一方プルテインストはというと幸せにはなれなかったようだ。
というのも、愛していたあの女性の家柄に問題があったそうで、彼女と結婚することを親に強く反対されたそうなのだ。で、プルテインストは両親に反発し、喧嘩ばかりに。そんなある夜、女性を悪く言った父親に腹を立てて、彼はついに父親を殺してしまったそう。で、それによって殺人犯となってしまって。プルテインストは父殺しの罪で罪人になってしまい、その後処刑されたそうだ。
「これからまたよろしくね、アイルトン」
「ああ、もちろん!」
◆終わり◆




