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人気者でも誠実であってくれればそれで良かったのですが……彼はそうではありませんでした。

 漆黒で艶のある髪、整った目鼻立ち――私の婚約者である男性モーリスカーンは女性たちから大人気。


 ただ、それでも、誠実であってくれればそれで良かったのだけれど。


 婚約してから数週間経った頃から、毎日、いろんな女性と二人で会って遊んだり酒を飲んだり外泊したりするようになった。


 しかも、いかがわしい場所への立ち入りまで確認されている。


 自由な行動を制限する気はなかった。

 彼の人生だから。

 けれども素行があまりにも酷い。


 ここまでなるとさすがに黙ってはいられない。


 そこでそれに関して意見を言ってみると。


「うるさい! 束縛女! 泊まりくらいいいだろ! てかお前、俺とつり合ってると思ってるのか!? 馬鹿だろ! お前は形だけとしても婚約者という位置にいられているだけましだと思え! くだらん女なのに俺の婚約者でいられていることに感謝して、一生俺に尽くせ! 人生すべてを捧げろ! そして一生何も言うな!」


 それは無理です、と返すと。


「なら婚約は破棄だ!!」


 そう言われてしまった。


 でもそれでも良かった。

 私だって彼のような人とはもうやっていけない。


 あまりに酷い。

 今の彼は。

 他人の心を見ようともしないし。


「分かりました、そうしましょう」


 だから私は婚約破棄を受け入れた。


 今回は運が悪かった。

 でも次なる道だってあるはずだ。


 前を向こう。



 ◆



 モーリスカーンと離れて数ヶ月、私には出会いがあった。

 相手は領主をしている男性で。

 少し年は離れているけれど、とても心の広い人で、一緒にしてほっとできる存在だった。


 そして、出会って半年、彼から結婚を望まれて。


 私はそれを受け入れた。


「いいのかな? 年が離れているけど」


 彼は少し年齢差を気にしていたようだったけれど、私は正直そこまで気にはならなかった。


 それに、二十とか三十とか離れているわけではない。


 平均的な年齢差よりかは大きな年齢差かもしれないけれど、そんなに気になるものではない。


「もちろん大丈夫です」


 だから私ははっきりそう答えられた。


 彼と歩む、その選択に迷いはない。


「なるべく合わせられるようにするから」

「いえいえ! 無理はなさらないでください。といいますか、今でも十分ほっとできる関係です!」

「それは良かった」

「これからもよろしくお願いします!」


 そうそう、モーリスカーンはというと、あの後十股くらいしていたそうで……それが皆にばれてしまった日、数人の女性からめった刺しにされて死亡したそうだ。



◆終わり◆

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