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魔物を斬り続けて十年、婚約破棄されました!? ~それでも私は我が道を行く~

 魔物を斬り続けて十年、私は、思わぬところで意外な展開に遭遇することとなる。


「ルーシェア! お前みたいな戦闘能力しか取り柄のない野蛮なだけの女はつまらん! よって、婚約は破棄とする!」


 婚約者であるルーカスから婚約の破棄を告げられたのだ。


 思えば直接的な出会いではなかった。


 彼との縁を繋いでくれたのは両親だ。


 戦いばかりに生きていた私の将来を心配した両親が彼を連れてきて紹介してくれて、それで、婚約するに至ったのである。


「野蛮、て。それはなかなか酷い言い方ですね」

「はぁ!?」

「だってそうでしょう。私は世の人々のためにも戦って魔物を減らしているのですよ? それを、野蛮、だけで片付けるなんて。正直、貴方がそんな人と知ってがっかりです」


 確かに、私は、お淑やかな女性ではない。そういう意味では彼の理想の人にはなれないかもしれない。が、野蛮な女などと言われる筋合いはないのだ。現に、魔物を倒した私に感謝してくれている人も世にはいるわけで。私だって悪いことばかりしているわけではないのだ。少しは世に貢献している。


「てめぇ! 偉そうなこと言いやがって!」

「なら貴方は世のために何をしているのですか?」

「ぐっ……」

「ですが、ま、いいでしょう。婚約破棄は受け入れます。では私はこれで……さようなら、ルーカス」


 こうしてルーカスとの関係は終わってしまった。


 しかしそれは私にとって悪いことばかりではなくて。

 おかげで仕事に集中できるようになった。


 私はまた、戦いの場へ戻り、魔物退治に明け暮れる日々へと戻った。


 ――それから数年が経って。


 年間最多討伐賞を受賞したことをきっかけに国王からその能力を認められた私は、その息子である第二王子と結婚することとなった。


 そして今は、王子の妻としての教育を受けながら、時折街の外れへ出て魔物を退治している。


 王子は私を『野蛮』とは言わない。

 心配してくれてはいるようだけれど。

 温かく見守ってくれている。


 やりたいことをやらせてくれている彼には感謝している。


 ちなみにルーカスはというと、私が第二王子と結婚することを知ってから『野蛮女に国の未来を託すことに反対する会』というものを開き活動するようになったのだが、その活動が段々過激化し、やがて破壊活動のようなことをするようになり――その先頭に立っていたために、ある時ついに警察に捕まった。


 そしてルーカスは人権はく奪の刑に処された。


 彼は今、更生施設内にて、一日二十二時間の労働を強制されているそうだ。


 泣いても、叫んでも、許されはしない。

 どれだけ嘆いても解放されはしない。

 どうあがいても彼は幸福を得ることはできないのである。


 なぜなら、人権を奪われているからだ。


 彼はもう人としては扱われない。



◆終わり◆

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