表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1007/1194

婚約することになったのですが、彼の様子がおかしくて……。話をしたら怒り出す、なんて、怪しいとしか思えませんね。

 国内でもかなり上位にあたるくらい資産のある家に一人娘として生まれた私は、学園時代同学年だった青年アンドレアに追い掛け回され、親が彼を気に入っていたこともあって卒業後彼と婚約することとなった。


 正直あまり乗り気ではなかったけれど、でも、親に激しく反抗するほど嫌ということもなかった。


 しかし、婚約してから数ヶ月が経った頃、アンドレアの行動に不審な点が増えて。おかしく思い調査してみたところ、なんと、一人の女性と不自然なほど仲良くしていることが発覚した。アンドレアはその女性と深く関わっているようだった。長時間一緒にお出掛けしたり、家に泊めたり、と。


 さすがにそれはやり過ぎ。

 そう思い、その件について意見を発してみたところ。


「何だお前! 調子の乗るなよ!? 少し金持ちだからって勘違いしやがって! それになぁ、リインとは昔から仲良しなんだよ! うるせえよいちいち! ちょっと仲良しなだけだろ!!」


 アンドレアは激怒した。


 そして。


「ああうざい、もういい! お前との婚約なんぞ破棄してやる!」


 そんなことまで言い出した。


 こちらは少し話をしようとしただけだ。

 なのに彼は好戦的で。

 あまりよく分からない展開だ。


「お前みたいなうるさい女、金がちょっとあったって誰にも必要とされねぇよ! 付き合ってやってた俺に後で感謝することになるからな!」


 彼はそう吐き捨て、私との関係を叩き壊したのだった。



 ◆



 婚約が破棄となった、という情報が世に流れるや否や、私のもとへは大量の婚約希望がやって来た。


 アンドレアは「誰にも必要とされねぇよ」なんて言っていたけれどそんなことはなくて。私を必要としている人は何人も存在していた。婚約希望がやたら多いのがその証明と言えるだろう。結局アンドレアが何も知らないだけなのである。


 その後色々吟味して、私は、絹の製造で富を築いた家の子息と結婚した。


 裕福な家に生まれていながら、彼はとても純真な人だ。

 そこに惹かれた。

 見つめているだけでもほっこりできるような人物で、初めて対面した日にその魅力が心に刺さった。


 ちなみにアンドレアはというと、あの後リインと結婚したそうだが結婚から一年も経たないうちに裏で付き合っていた平民の女性に子を宿してしまったらしい。それによってリインの父親を激怒させてしまったそうで、離婚となり、莫大な金を償いとして払わされることとなったそうだ。また、その直後リインの父親が雇った男に襲撃され、アンドレアは一生治らない傷をその身に負うこととなってしまったらしい。



◆終わり◆

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ